独学で言語を勉強する時、難しい事の1つが教材選びです。
英語を勉強する場合、本屋やネット上で教材を探そうとすると、英語教材のあまりの数の多さにどれを買ったらいいのやらと困ってしまった人はいないでしょうか?
逆に、僕が第3言語として話すスウェーデン語のようなマイナー言語となると、今度は教材が見つからなくて困る事になります。
実際、僕が教材として買ったのはComplete Swedishという入門書ぐらいなものでした。
音声CD付で、初心者から中級者レベルの入り口ぐらいまでをカバーしている内容。ページ数は350ページぐらいで、説明は全て英語で書かれています。値段はたしかアメリカドルで40ドルぐらいだったかな。
僕はこの本を買った時点で既に英語で大学の授業が受けられるぐらいの英語力があったので、テキストの説明は全て理解できたし、実際この本のおかげでスウェーデン語の発音や綴り、文法や日常会話で用いられるボキャブラリーなどの基礎的な部分を身につけ、初心者レベルはなんとか脱出する事ができました。
でも、英語などのメジャー言語と違って、スウェーデン語みたいなマイナー言語はそれ以降が大変。これ以上のスウェーデン語の教材を探そうとしても、そもそも売られていないのですね。
そこで僕はどうしたのかというと、自分で作っちゃいました、スウェーデン語の教材。
無料サービスを利用せよ!その1…Wikipedia
お金をかけなくてもスウェーデン語が読める所はないだろうかと考えていた所、ある日いいものを思いつきました。それがWikipediaです。
Wikipediaはインターネット環境さえあれば誰でも無料で読める百科事典。世界的に関心の高いトピックであれば、世界中のあらゆる言語で書かれているので、事実上ほぼどんな言語でも読める事になります。
例えばこんな感じ。
僕は陸上競技が好きなので、例えば「ウサイン・ボルト」で検索して、出てきたWikipediaのページの言語をスウェーデン語に切り替えれば、はい、スウェーデン語のリーディング教材のできあがり~。
これ、
「自分の興味のある分野」
など、自分が既にある程度慣れ親しんでいるトピックを選ぶのがコツです。
・映画が好きなら今まで見た映画のあらすじ
・好きな歌手がたくさんいるならその歌手たち
などなど、自分の好きなものをWikipediaで調べて自分の学習中の言語に切り替えます。
なんとなくでも既に内容がどんなものか想像のつくものであれば、書かれている事を読んで理解しやすいです。
あと、ある程度テーマを絞って検索すると、けっこう同じような表現が何回も出てくるんですね。例えば、ウサイン・ボルトの記事には
Usain St. Leo Bolt, med smeknamnet “Lightning” Bolt, född 21 augusti 1986 i Trelawny, Jamaica, är en jamaicansk före detta friidrottare (kortdistanslöpare).
と書かれています。
そして例えば他にも「引退したアスリート」というテーマに絞って、「マイケル・ジョーダン」や「マイク・タイソン」で検索してみると、
Michael Jeffrey Jordan, född den 17 februari 1963 i Brooklyn i New York, är en amerikansk före detta professionell basketspelare.
Michael Gerard “Mike” Tyson (sedan konverteringen till islam också under namnet Malik Abdul Aziz), kallad “Iron Mike”, född 30 juni 1966 i Brooklyn, New York, är en amerikansk före detta tungviktsboxare.
といった感じに記事が書かれています。
さて、みなさんここでお気づきでしょうか?どの記事にも、
född
före detta
という単語が含まれています。これらの記事の文脈に照らし合わせてみると、
född + 「生年月日」 → 「~生まれ」
före detta + 「肩書」 → 「元~」(元陸上選手、元バスケットボール選手、元ボクサー)
というパターンが見えてきます。
このように、自分で分野を選んで記事を読むと、そこで使われている単語やフレーズに特定のパターンが見えてくるので、文脈やパターンを通して覚えやすくなるんですね。従って、ただやみくもに単語を暗記するよりもずっと効率よく覚える事ができます。
これ、もちろんスウェーデン語に限らず英語でも他の言語でも実践可能です。何せ、自分の興味のある記事を検索して言語を切り替えるだけですから。
無料サービスを利用せよ!その2…Wiktionary
上記のように、自分が既に慣れ親しんでいるトピックの記事であれば文脈だけで意味が推測できてしまう単語もあるのですが、やはりそれだけで記事の文章の意味全部がわかるわけではないので、当然辞書や辞書の代わりになるものを使って意味を調べる必要あります。
ここでも無料サービスが活躍します。Wiktionaryという、ほぼどの言語の単語でも調べられるサイトがあるのです。
例えば先ほどのウサイン・ボルトのページの冒頭では、
Usain St. Leo Bolt, med smeknamnet “Lightning” Bolt, född 21 augusti 1986 i Trelawny, Jamaica, är en jamaicansk före detta friidrottare (kortdistanslöpare). Han har till och med sommar-OS 2016 i Rio de Janeiro vunnit åtta OS-guld och elva VM-guld samt är innehavare av världsrekorden på 100 (9,58) och 200 meter (19,19).
と書かれていますが、例えばここでvunnitという単語がわからなかったとします。
なのでvunnitをWiktionaryで調べてみるとこんな検索結果が出てきます。
意味…supine of vinna
元々はvinnaという形で、それがsupine(英語でいう過去分詞みたいなもの)という形に変化したものがvunnitのようです。原型のvinnaにリンクがついているので、さらにそこから飛んでみると、今度はこんな感じ。
で、ここにConjugation(動詞の活用)という欄があるので、そこのShowという部分をクリックしてみると、こんな感じに表が開きます。
これによって動詞の原形や現在形、過去形や受け身(~される)の形など、様々な変化形を一覧表で見る事ができます。
Wikipediaと同じく、スウェーデン語のみならず他の言語でも使えます。僕はフィンランド語も勉強しているので、フィンランド語の単語の複雑な変化形はいつもWiktionaryの一覧表を参照して正しい形を確認しています。
Wiktionaryにはもちろん英単語も載っていますので、英語の勉強にも使えます。もっとも英語であれば、無料で単語の意味や活用形を調べられるサイトは他にも山ほどあるはずなのでWiktionaryにこだわらなくてもいいかもしれませんが。
まとめ
今の世の中便利になったもので、インターネットがあれば大抵のものは無料で調べられます。上手にインターネットを駆使すれば、ほとんどの情報は無料で手に入ってしまうかもしれないので、まずは試してみる価値ありだと思いますね。
今回は無料でリーディング教材になりうるものを紹介しましたが、もちろんリーディング以外の要素も、ネット上で無料で使えるものだけを駆使してかなりのレベルまで鍛える事ができます。他の要素の鍛え方の例は、また後日別の記事で書こうと思います。お楽しみに~^^