Page 84:バイリンガル教育の失敗と成功を分ける要因とは?

僕は英語が喋れるのに加えて、日本にいた時から独学でスウェーデン語を覚え、語学学校には一切行かずにスウェーデン語圏の大学に直接入学し、2019年現在スウェーデン語で授業を受けています。今の所、卒業に必要な単位も一通り取得できていますし、最近はスウェーデン語で面接をクリアしてIT系の仕事もゲットしたので、まぁ留学生活は順調であると言ってよいでしょう。

僕のこのような経験と、学業の傍らオンラインで

という語学コーチングサービスも行っている事から、子供のバイリンガル教育の事について聞かれる事も時々あります。

たしかにこれは、小さなお子さんを持つ親の立場であれば結構気になる所ですよね。

少なくとも巷では、

「第一言語を優先しないと、どちらの言語も中途半端になってロクな事にならない。バイリンガル教育はやるならやるで相当の覚悟をしろ」
「ダブルリミテッドになったらどうするんだ」

※ダブルリミテッドとは、一応2か国語喋れるけど、どちらの言語も100%ネイティブとして自由自在に使いこなせない状態の事※

とかみたいな、バイリンガル教育に対して否定的な意見が目立つように思えますし、こういうネガティブな声で不安になる人が一定数いるのもわかります。

この事に関しては、以前書いた記事

で、僕は

「バイリンガル教育やってようが日本語だけで育てようが、結局は国語力(や学力全般)がつく子はつくんだしつかない子はつかないんだから、他人の子育てに関してそんな事にまで外野がゴチャゴチャと口出しすな」

という趣旨の主張をしました。

上記の記事で述べた通り、僕は基本的には

「子供が好きで楽しんでやっているのであれば、小さいうちからでもどんどん英語(または他の言語)をやらせてあげればいいじゃないか」

という考えなのですが、それはそれで別にして、バイリンガル教育には大きく分けて

・どちらの言語も十分に発達する「成功例」
・両方を高いレベルで習得できなかった「失敗例」

の2つが存在するのは事実です。

ある家庭ではバイリンガル教育はうまくいき、ある家庭ではそうはいかない。この差は一体どこから来るのでしょうか?今回の記事ではその事についてもう少し深く考えていきたいと思います。


バイリンガル教育成功の鍵…どんな場面で何語で喋るか

僕はこれまでこの手の体験談は日本でもフィンランドでもいろいろ見聞きしてきましたが、バイリンガル教育の「成功/失敗」を決定づける大きな要因は次の1つに集約されると言っても過言ではないと思います。それは

「どんな場面で(誰を相手に)どの言語で喋るかを明確に決めているかどうか」

です。

むしろ、これがしっかりとできていれば、バイリンガルどころかトリリンガル教育(3か国語)だって上手くいきます。実際、僕が2019年現在通っているフィンランド・オーランド大学の学生には、3~4か国語喋れる人はけっこういます。

例えば、トルコ語、クルド語、スウェーデン語、英語の4か国語を喋れるスウェーデン人。彼自身はスウェーデン生まれなのですが、親2人がトルコからスウェーデンに移住してきた移民です。家庭では片方の親とはトルコ語、もう片方とはクルド語、学校ではスウェーデン語を話し、学校教育や海外の友達とのやりとりなどを通じて英語も話せるようになりました。

他にも、ベトナム語、スウェーデン語、フィンランド語、英語の4か国語を喋れるフィンランド人もいます。彼は元々ベトナム生まれなのですが、彼が4歳ぐらいの時に一家そろってフィンランドのスウェーデン語圏に移住。国籍もベトナムからフィンランド変えたので現在は正式にフィンランド人です。スウェーデン語に加え、フィンランド語も話されるバイリンガル環境の地域で育ったため、大した苦労もせずにベトナム語とスウェーデン語とフィンランド語の3つを習得しています。後に英語も覚え、4か国語話者となります。彼は現在でも家族と話す時はベトナム語を喋っているそうです。

他にも似たような例はいくつかあるのですが、彼らには共通点があります。

それは上記のルール、

「どんな場面で(誰を相手に)どの言語で喋るかを明確にする」

を守っている、という事です。

ハーフの子がバイリンガルになるケース、ならないケース

さて、日本にもハーフの子はいますね。非英語圏の国の人とのハーフが多くいますが、語学的な観点でよく話題になるのは親の片方が日本人で、もう片方が英語圏の人というパターンでしょう。

こういったハーフの子たちも、バイリンガルになる子とならない子に分かれるのですが、その境目はやはり上記の

「場面によって喋る言語を決めているかどうか」

であると思われます。

例えば、僕がまだ日本の高校で英語の教員をやっていた時、学校に「ネイティブ枠」として配属されたアメリカ人の英語の先生が同じ職場にいました。彼は当時の時点で既に日本に5、6年は住んでおり、日本人女性と結婚しており、娘さんもいました。で、彼、現地語習得に対してはあんまりやる気がないようで、日本に5年以上住んでいるのに日本語での会話がロクに成立しないような語学力だったのです。

このように、

「英語しか喋れないお父さん(あるいはお母さん)」

がいる場合、子供はその親と喋るには必ず英語でなければなりません。となれば、

「お母さんがこの娘さんと話す時には日本語。学校でも日本語」

という事さえ徹底していれば、自然と

「お母さんとは日本語、学校では日本語、お父さんとは英語」

という状況設定による使用言語の棲み分けができるようになります。
実際、この娘さんは日本語・英語ともにネイティブレベルで定着しているそうです。

逆に、日本人と英語圏の国の人の国際カップルだけど、例えばオーストラリア人のお父さんが日本語ペラペラであるというケースもあります。この場合も

「お父さんと喋る時は絶対英語!」

という明確なルールがあり、子供たちがそれに従えば、先ほどの「英語しか喋れないお父さん」の家と同様の効果があります。

しかし、日本語を流暢に喋れてしまうが故に英語をそれほど徹底しない事もあるでしょう。このような場合、家庭内の言語は常に日本語になり、子供はハーフであるのに誰一人として英語が喋れない、という事もよくあります。

このように、国際カップルで親が日本語も英語もどちらも話せてしまう場合は、バイリンガル教育のために子供が一定の年齢に達するまでは状況設定による使用言語を固定させるルールを作るか、もしくはバイリンガルにはこだわらず、日常的によく使うし話しやすい方の言語だけ(日本に住んでるなら日本語、英語圏に住んでるなら英語メイン)でOKにするかの大まかな方針を決める必要があるでしょう。

ちなみに、幼少期にバイリンガル環境で育てても、その効果がずっと続くかどうかは人によって変わる事もあるみたいです。例えば、歌手の木村カエラさんは日本人とイギリス人のハーフですが、

「英語は子供の頃は話せたが今は忘れて話せない」

そうです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%A9

純ジャパの親のバイリンガル教育について

さて、ここまで海外で移民として生活している家庭や、日本在住の国際カップルのバイリンガル教育の例を挙げましたが、この記事を読んでいる方々は、生まれも育ちも日本で、配偶者がいたとしても日本人同士であるという、いわゆる

「純ジャパ」

の人が多いのではないでしょうか?

純ジャパの親が子供のバイリンガル教育について考える場合、

「できれば日本語も英語もどちらもネイティブレベルにさせたいけど、優先順位をつけなければいけないとしたら、どちらの言語を優先するか?」

も考えなければいけない事が多いでしょう。

そしてその基準としては、次の2点が重要なポイントとなってきます。

・親自身は英語を喋れるのかどうか
・住む場所

まず、1つ目のポイントである、「親自身が英語を喋れるかどうか」についてですが、喋れる場合、これは基本的に既に述べた「英語も日本語もどちらも使いこなせる国際カップル」と考え方は同じです。

子供にバイリンガル教育を施したいのか?

それとも、

別にそれほど気にしなくていいのか?

という、家庭内での言語使用状況に関する大まかな方針を決めておく必要があります。ここをしっかり決めておかないと、バイリンガル教育否定派の人たちがよく煽ってる

「日本語も英語もどっちつかずの状態」

が本当に現実のものとなる危険性が多少はあると思います。

例えば、日本人だけど英語を話せるお母さんが、何の法則性もなくその時の気分次第で子供に英語で話したり日本語で話したりとコロコロ言語を切り替えると、子供の頭は混乱してしまうかもしれません。

理想を言えば、

「お母さんと喋る時は常に英語。お父さんとは常に日本語」

みたいに、

「人単位」

で言語の使い分けが決まっているのが混乱が少なくてよいと思いますが、それが難しければ、

「この時間は英語の時間だよ」

みたいに、状況設定で使う言語を区切るのもいいかもしれません。今はピアノの練習の時間だよー、みたいな。

逆に、親が英語を喋れない場合、結論から言うとバイリンガル教育は非常にハードルが上がると思います。理由は簡単。英語環境を整えにくいからです。

「自分は英語を喋れないけど、子供には喋れるようになってもらいたい」

という親のほとんどは海外在住ではなく日本で子供を育てているでしょうから、当然普段の生活は日本語環境になります。授業料が高額な一部のインターナショナルスクールとかに入れるなら話は別ですが、その辺の子供英会話に週1回通わせる程度とかだと、

「本物のバイリンガル環境」

には到底及びません。また、その程度の学習量であれば、ある程度大きくなってからのガチ勉で十分挽回可能です。

ただ、だからといってこういう子供英会話とかが全くの無意味かというと、そうでもありません。日本語以外の言語の音に耳を慣らしたり、実際にネイティブの音に忠実に発音したりするのは若ければ若いほど有利ですし、こういうのをきっかけに子供が英語(や外国語)に興味を持ち、

「教えられなくても自分で勝手に勉強する子」

になる可能性もなくはないからです。

ちょっと稀なケースではありますが、例えば小学校6年生でTOEIC980点を取得した、

藤田紅良々さん

という人がいます。

彼女は3歳の時に英語と出会い、非常に強い興味を示したそうです。そこで親が英語の本とかいろいろ英語関連のものをプレゼントしてみたら、後は言われなくても自分で勝手に英語やりだしたと。本人は「勉強してる」という感覚すらないみたいです。

これ、ビデオの最後らへんでも言われてますが、

「強制しない」

ってのが大事ですね。なので、

「自分は英語は得意じゃないけど子供には英語をできるようになってほしい」

という親は、あくまで子供が英語をやりたくなるようなきっかけを提供するまでにとどめておくのが賢明かと思われます。

そして、2つ目のポイントの「住む場所」についてです。これに関しては、

・現在住んでいる場所
・これから住む予定の場所

の2つを考える必要があります。

例えば、今日本に住んでいるし、将来も日本に住む予定の場合、日本語ができない事の方が英語ができない事より困りますから、「子供が日本語を使う時間を確保しない」という選択肢はほぼ無い、と言えます。

逆に、海外永住組で、普段の会話は英語で事足りるし日本に帰る予定も全然ないというのであれば、「日本語の優先順位は低め」という方針でもそれほど問題にならないでしょう。

こうやって「日本に住まないのなら日本語はなくてもOK」っていう考え方に対しては、

「日本人を親に持ちながら、日本語を喋らなくていいとは恥ずかしくないのか?」

みたいな批判をする人が出てくるかもしれませんが、これは的外れな批判なので気にしなくていいと思います。だって、日本にだって日本語しか喋れないタイ人のハーフとか在日韓国人とかたくさんいるじゃないですか。こういう人たちに対して、

「タイ人/韓国人を親に持ちながら、日本語しか喋らず、タイ語/韓国語を喋れないとは、恥ずかしいとは思わんのか?」

なんて批判はしないでしょう?日本に住んでて日本語しか必要じゃないから日本語しか喋らない。それと同じで、英語圏にずっと住むなら日本語に力を入れず英語だけでも問題ない。そういう事です。

とはいえ、子供の時に出遅れても後からやり直しは効く

はい、ここまで子供のバイリンガル教育に関してお話してきましたが、結論としては

・一般的に純ジャパはバイリンガル教育では不利
・でも環境づくりの工夫次第ではチャンスはなくはない

という感じです。

もっと言ってしまえば、幼少期のバイリンガル教育でバイリンガルにならなかったとしても、大人になってからでも外国語は覚えられます。幼少期よりも多少の努力と工夫が必要になるというだけで。

今この文章を読んでいるあなたがもし

「外国語が喋れないまま大人になったけど、今からでも喋れるようになりたい!」

と思っているのなら、僕の語学独学講座をオススメします。

僕自身も高校卒業までは日本語しか話せず、そこから努力で

日本語
英語
スウェーデン語
フィンランド語

の4か国語を話せるようになった学習ノウハウなので、きっと役に立つと思います。

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