Page 73:ネットワークビジネス=マルチ商法という事に気づかない人たちは何故こんなにいるのか

僕はフィンランド・オーランド諸島に引っ越してきてもう1年半あまりが過ぎましたが、ここでの生活を始めるための準備には5、6年は費やしてきました。

留学に限らず、海外での生活に向けて準備をする人にとって気になるのは

「お金の問題」

です。

日本を出て、現地でいきなり仕事ができて毎月収入たっぷり、なんて事ができる人は少ないですから、やはり日本を出る前までに十分な資金を用意しておく必要がありました。

で、僕が大学を卒業してからフィンランドに来るまでの6年ほどの間、昔の友人と久しぶりに会って話をする事も何度かあったのですが、するとお互い「最近どうしてる?」という話になります。

そこで僕は

「実は俺、北欧に行くっていう夢があるからね。そのためにも今からコツコツ貯金してるんだ」

などと、ちょっとお金関連の話をするのですが、そうすると急に相手方の目つきが変わるわけです。

「実はさぁ…」

と。

そう、このブログ記事のタイトルからも既にお察しでしょうが、ここからマルチ商法の勧誘が始まるんですね。

僕個人のこのような体験以外にも、日本での職場の当時の同僚などに話を聞いたりしても、皮膚感覚的には

「大学を卒業してから久しぶりに会う友達の中には2~3人ぐらいはマルチ商法に洗脳された人がいる」

感じがします。

北欧に来てからも、久しぶりに連絡を取った日本の友達の内の1人が実はマルチ商法に引っかかっていたという事が判明してしまい、うわーこれはやっぱり闇が深いなーと思った次第です。

そこで今回は僕が実際に仕掛けられたマルチ商法の勧誘の方法をご紹介し、みなさんも引っかからないように参考にしていただきたいなと思います。


【マルチ勧誘1人目…ウェブサイトに誘導してきた奴】

1人目は中学時代の同級生。彼は真面目な優等生タイプで、勉強もスポーツもできて、受験でも関西の私立大の中でトップレベルの大学に受かっていました。大学卒業後もなかなか条件のいい会社に就職し、傍から見れば順風満帆な人生です。

彼とはけっこう仲は良かったし、中学卒業した後も予定が合えば会っていろいろ話してました。そして僕がまだ高校の英語教員として働いていた時(2013年)、夏休み中の数少ないオフの日に久しぶりに一緒に食事にいったのでした。(※ちなみに、基本的に日本の教員に「夏休み」はありません。夏休み中も仕事に追われます※)

僕は当時(ていうか教員として働き始めるより前の2012年時点から)、既に

「いつか必ず北欧に行く」

という意思を固めてはいたのですが、この頃はまだ

「EU国籍を持たない外国人でも学費を全額無料にする事は可能」

というのを知らなかったので、北欧留学を実現させるには1,000万円ぐらいは必要になると考えていました。だから僕は「将来のためにお金が必要」「貯金しなきゃ」と言っていたのですが、そこで急に彼の眼の色と口調が

「実はさ、いい話があるんだけど。(キラーン★)」

と変わったのですね。

彼によると、

「今すごく伸びているビジネスがある」

との事。そして、

「このチャンスは逃してほしくないから!」

と、とある会社名を教えられ、その名前でネット検索し、ぜひホームページを見てくれと言われたのです。

ホームページを覗いてみると、『ABOUT US』の自己紹介ビデオに出てきたのは、金髪の美人なお姉さん。英語でいろいろ喋りだします。

「私たちはよりよい社会を実現するため、環境を保護し、貧困問題に取り組み…」

などと社会問題の意識高い系の話をしている割には、動画の途中から出てきたのはなぜか

健康食品。

しかも、

「この健康食品をあなたの3人のお友達に紹介し、その3人のお友達がそこからさらに3人ずつに紹介をするので9人に商品がいきわたり、そこからさらに3人ずつ…(以下同文)」

と、

なんかこんな感じの(実際の動画では枝分かれは3本だったけど)

図が出てきて、

プハー、完全にマルチじゃねーか!!(# ゚∀゚#)

と思ったものでした。

そして後日、彼から

「動画、見てくれた?」

と催促の電話がかかってきて、しかもしまいには彼のお母さんまで出てきて2人して僕に

「今度この会社のお偉いさんが来てくれる集会があるから、ぜひ来ないか」

とかいうミーティングの勧誘までしてきたのです。

親子そろってマルチとか、何考えとんじゃーーー!!!!(# ゚Д゚)

不幸中の幸いか、当時教員としての勤務がサービス残業が月100時間を超える鬼タイトスケジュールだったのもあり、文字通り

「あのね、こちとらそんな時間はないんですわ!」

と一刀両断でお断りしました。

ホント、マジで時間なかったんですもん。この電話かかってきたのだって土日だったけど、1週間分の授業全部の準備まとめてやっとったっつーの。(平日は授業と関係のない仕事が多すぎて授業の準備どころではない)

【マルチ勧誘2人目…セミナーに誘ってきた奴】

2人目は僕が教員の仕事を辞め、北欧行きの準備の一環であるオーストラリアでのワーキングホリデーから日本へ帰ってきた直後に再会した、大学時代の知人でした。

彼も真面目でおとなしい優等生タイプ。物事の分別のつく人だと思っていたのに、まさかこの人までこんなアホな事をやっていたとは。

帰国したばかりだった僕は、北欧留学の資金稼ぎのための仕事探しの真っ最中であり、当時無職でした。それを聞いた彼は、

「ビジネスの勉強会って興味ある?いろんな業種の人が集まってくるミーティングがあるんだけど」

と僕に「勉強会」の話を持ち掛けます。

そう、ここでは「マルチ商法」という言葉はおろか、

「稼げる」
「ネットワークビジネス」
「不労所得」

みたいなキーワードすらも一切出てこないんです。

純粋に勉強会。

当時フルタイムの仕事をしておらず時間が有り余っていた僕は、「勉強会なら興味あるよ」と快諾し、彼の誘いに乗ったのでした。

【笑いをこらえるのが大変だったセミナー】

誘ってきた彼はこのセミナーの講師と既にけっこう親密な関係になっていたらしく、会場に着くと、セミナー前に僕を連れて講師に直々にご挨拶に向かいました。

で、このセミナー講師、挨拶した時のパッと見の印象で僕はすぐに思いました。

「こいつ、ほぼヤクザじゃね?」

と。

いやー、明らかに目つきがおかしいんですよw

一応初対面なので、僕に対する言葉遣いは丁寧だったし、フレンドリーに振舞ってはいたのだけど、「ヤバい奴」なオーラがビンビン出てました。

「ね?彼、オーラがあるでしょ?」

と、僕に同意を求めるマルチ君。
うむ。確かにオーラがあるってのは間違ってはいないと思うぞよ。

そしてセミナーが始まると、彼は自分の身の上話から始めました。

セミナー講師:「まずは私自身の経歴をお話しますとね、私、昔は布団屋をやってたんですよ。一応これで食っていけなくはなかったんですが、働いてて、何だか未来がないなーって思ってたんです。だって、そうでしょ?給料は上がらないし、年金はどうせロクにもらえないし。それに私、雇われの身ではなくて自営業でしたから、体調不良とかで働くのをストップしてしまうと収入もストップしてしまうんですよね。よっぽど儲かってるわけでもない限り、非常に辛いわけですよ。」

ふむふむ。ごもっとも。確かにその通りですよな。

セミナー講師:「こういう、働くのを止めると収入が途絶えてしまうタイプのものを労働所得っていうんですが、みなさん、考えてみてください。実は世の中には収入を得る方法ってね、労働所得以外にもあるんですよ。そう、不労所得です。自分が働いていない間にもお金が発生するシステムです。」

ほぉ、不労所得。なんか聞いた事はあるぞ。

セミナー講師:「みなさんね、『リストラされた』だとか『ブラックな会社だったから辞めたけど、今度は金がなくて困る』とか、事情は人それぞれですけど、お金の事ですごく困ってらっしゃるでしょ?世の中、そういう人ホントに多いじゃないですか。でもね、不労所得があれば、そんな心配いらないんですよ。勝手に金が入ってくるんですから。職場でパワハラを受けたとしても、『収入が途絶えるのが怖い』と辞職をためらう必要はないんです。理不尽な職場にしがみつく必要なんてないじゃないですか。不労所得はそうした問題を解決してくれる救世主なんですよ。」

うん、確かにそうだよね。ブラック会社にしがみつく人が多いのは、職を失い収入が途絶えたり、次の職場が見つからない事を恐れる人が多いのが大きな要因の一つ。でも、そうした不安がなければ、理不尽な職場はもっと楽に辞められる。はい、異論ありません。

セミナー講師:「ここでみなさん、不労所得って聞いてどんなものを例として思い浮かびますか?一例としては、小説家の印税とかですね。他にもスター歌手とかでも、一度できのいい作品をリリースしてしまえば、後は勝手に売れていき、勝手にお金が入ってきます。実際こういう人たちはみんなお金持ちですよね。でもここまで聞くと、不労所得って有名人にならないと無理なんじゃないかって思っちゃいませんか?でもね、そうでもないんですよ。僕たち一般人でも不労所得を作る方法が実はあるんです。」

ほぉ(・∀・)
一体なんでしょうか?

セミナー講師:「この会社では、XXという健康食品を扱ってます。これを3人のお友達に紹介し、その3人のお友達にさらに3人ずつ同じ商品を紹介してもらうんです。この9人にさらに3人ずつ紹介を…(以下同文)」

そして出てくる見覚えのあるピラミッド。

(実際には枝分かれは3つでした)

プハー、完全にマルチじゃねーか!!(# ゚∀゚#)

(デジャブかよw)

雑だよあんた、話の持ってき方が雑!
最初のプレゼンの巧さと、後半のマルチのシステムの紹介時のこの落差よw

いや、最初の掴みはホント上手でしたよ?不労所得の説明もすごいわかりやすかったし。だけどなんでこんなにツメが甘いのw

笑いをこらえながらこう思っていた僕の頭を読んだのかどうか知りませんが、セミナー講師は間髪入れずにこう続けます。

セミナー講師:「さてみなさん、この図を見て、一部の方々はこう思ったのではないですか?『これ、もしかしてマルチ商法ってやつじゃない?』と。それがね、違うんですよ。これはMulti Level Marketing(マルチレベルマーケティング)といいまして、あのアメリカの超名門ハーバード大学でも紹介された事もあるほどのれっきとした商法なんですよ!嘘だと思ったら調べてみてください。英語での文献がたくさん出てきますから。」

「調べてください」との事だったので、調べてみました。
Multi Level MarketingというキーワードでGoogle検索。

するとたしかに出てきましたね、Multi Level Marketingのウィキペディア記事。

https://en.wikipedia.org/wiki/Multi-level_marketing

でもね、これ、このスクリーンショット内の文面を見るだけでも「ヤバい商法」ってもうわかるんですよ。このスクショの最後の3行あたりにも、

at least 99% of people who join MLM companies lose money. Nonetheless, MLMs function because downline participants are encouraged to hold onto the belief that they can achieve large returns, while the statistical improbability of this is de-emphasised.

マルチレベルマーケティングに加わる人の99%は金を失う。にもかかわらず、このシステム自体は機能している。なぜなら、(ピラミッドの)下位に属する参加者たちは「いずれは(自分も)儲かる」と信じ込むように納得させられているからだ。(実際にはそれは)統計的に見て信ぴょう性が低いのだが、こうした点は敢えて触れられていない。

と書かれています。

英語が読めないという人も、実はこのウィキペディア記事をもとにMulti Level Marketingが「れっきとした商法」かどうかを調べるのは簡単なんですよ。だって、ウィキペディアって世界中の言語で書かれてるじゃないですか。だから、この英語のMulti Level Marketingの記事、言語切り替えで日本語版にしてやると、こうなるんです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E9%8E%96%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E5%8F%96%E5%BC%95

はい、

「日本では俗称としてマルチ商法などと呼ばれ…」

ってモロに書かれてます。

さらに、もう少しスクロールダウンして、「呼称について」の記述欄を見てみると、

「『マルチ商法』と言う言葉が悪徳商法的なイメージを持つと考える業者もおり、健全な連鎖販売業であることをアピールするため、『ネットワークビジネス』、『MLM(”Multi-Levels Marketing”)』等と称することも多い。」

とも書かれています。

はい、これで

ネットワークビジネス = Multi Level Marketing = マルチ商法

の等式が成り立ちますね。

完全にマルチ商法です。

いやー、このセミナーね、笑いをこらえるのホントにキツかったんですよ。僕をこのセミナーに連れてきたマルチ君がセミナー講師を崇拝してて超熱心だったから、一番前の席に座らされまして。笑ったらモロバレになるという。

【マルチ商法に引っかかる人と引っかからない人の境目は?】

上記の通り僕は笑いをこらえながらセミナー講師の話を聞いていたのですが、僕以外の人たちはみんな完璧に洗脳されてました。セミナー終わってから周りで聞こえる雑談も、

「いやー、本当にありがたいお話でしたな」
「これからの時代、こうやって稼いでいきたいですなぁ」

などと、完全にマルチ商法万歳。

何でこんなモンにこんなに簡単に引っかかるのか?それは

「自分で調べる」
「自分の頭で考える」

という事をやっていないから、の一言に尽きるでしょう。

さっきの「Multi Level Marketingは実はマルチ商法と全く同じもの」という事実だって、英語が読めなくたって、ちょっと自分で工夫して検索すればすぐ出てくる情報です。

「注意一秒怪我一生」

とはよく言ったものです。

一度立ち止まってじっくり考えるという努力をせず、言われるがまま、誘われるがままに流されていると、後で取り返しのつかない事になってしまう事だってあります。自分の人生の運命を決めるのは、他の誰でもない、自分です。自分の決断にいつでも責任を持てるよう、常に自分の頭で考える事を心がけたいものですね。

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