【体験談】ハッカソン参加チームは駆け出しバンドと似ている件

前回の記事

でも予告した通り、今回はハッカソンでの僕の個人的な体験にフォーカスした内容となります。

YouTubeでも似たような内容をフィンランド語で喋っています。興味のある方はこちらも見てみてください。


ハッカソンのチーム編成ってどうやるの?

11月の中旬に開催されたハッカソンですが、日程が近づいてくると運営側からメールが送られてきます。大会1か月前の10月15日にハッカソンに関する今後の流れに関する説明メールが届いたのですが、この時にメールには「大会関連の今後のやりとりはDiscord上で行うので、登録がまだの人はぜひお早めに!」とも書かれていました。

Discordはオンラインで無料でチャットなどのやりとりができるソフトウェアなのですが、このお知らせメールが送られてきた10月15日のうちに既にDiscord上に#teambuildingというチャンネルが立ち上がっており、ここでチームメイト探しが行われていました。

しかし僕は10月15日当時はちょうど大学の課題が忙しくてDiscordをそこまで細かくチェックしていなかったため、このチームメイト探しのやりとりがここまで活発に行われていたのに気づいたのはここから2週間近く経った後。何人かにメッセージを送ってみても「ゴメンなさい、私たち既にチーム完成してるんです」という返事ばかり。

これはヤバい!

と焦っていた時、1つのチームからお返事をもらえ、Discord上でビデオチャットもして、お互いに好印象だった事もありそこでめでたく僕もチームに入れてもらえる事になったのでした。

ちなみに、ハッカソンへの参加は最初からチームメンバーを集めて予めチームとして参加申し込む事もできますし、僕のようにいったん個人で申込して、それからチームメンバーを探すというやり方もあります。

チームメンバーは早めに決まった方が安心な感もあるかもですが、前回の記事

で紹介したTassu Passuを開発して優勝したチームは大会当日たまたま出会ってチーム結成に至ったメンバーだったらしいので、早くチームが決まった方が絶対に良いというわけでもないようです。

ハッカソン前夜祭は参加した方がお得!

僕が今回参加した、フィンランド・エスポーで開催されたハッカソン・Junction 2019には前夜祭があったので、僕はそれにも申込していました。

この前夜祭のメインの内容は、テック業界で活躍する様々な人たちのスピーチを聞くというもの。ハッカソン初心者のために大会全体の大まかな流れをプレゼンしてくれる人もいましたし、企業の代表が自社で取り組んでいる最先端の技術に関してお話しているプレゼンもありました。

例えば、最近話題になっているVR。これはVirtual Realityの略で、日本語では仮想現実とも表現されます。頭に特殊な装置をつけると、目の前には全くの別世界が広がっているように見えるというやつです。

仮想現実というと、最初はなんかゲームとかぐらいにしか使い道がなさそうな気がしたんですが、もっと画期的な使い方もあるのだそう。

例えば、「弱者の痛みを理解するための教育的ツール」としても、VRには可能性があるのだとか。例えば、VRを使ってホームレスになった疑似体験をすれば、ホームレスの立場での街の景色が見えるわけです。どこの国でも程度の差はあれど社会的弱者は切り捨てられてしまいがち。そしてそれは、実際にそのような立場を経験した事のない人が弱者の痛みを知らないから。

これって、僕が車の免許取る時に自動車学校でやった「追突体験」に似てるなと思いました。ジェットコースターみたいな乗り物に乗せられ、(もちろんシートベルトはした上で)時速5㎞で実際に衝突をさせる。「たかが時速5kmでぶつかっただけでもこの衝撃なんだから、60㎞とかでぶつかったら、そりゃ死ぬよね」というわけ。

VRも疑似体験とはいえ、これと似たような一定の教育効果はあると思います。人の痛みがわかるようになれば、人に寛容な社会になれるんじゃないかな。ただゲーム廃人を生み出すだけのスマホゲームアプリとかだったら作る気しないけど、こういう社会を良くするポテンシャルを持ったものだったら開発に関われるのってワクワクしますよね。

前夜祭ではこういったトークが聞けるのに加え、事前にチームメイトが決まっている人はここで大会開催よりも1日早く顔合わせする事もできるし、本大会参加の登録もここで事前に済ませる事もできるので、時間の節約になります。実際、ハッカソン本番初日に会場に着いてみると本登録待ちの長蛇の列となっていたので、やっぱり前夜祭に来ておいてよかったと思ったのでした。

チームのメンバーについて

これが今回僕がハッカソンに参加した時のメンバー。

1人だけやたらと画像の荒いオレ氏。いつのまにかTechLeadに任命されちゃってるオレ氏。

本家TechLeadにこれがバレたらド叱られそうです。

この5人の中で、僕以外の4人は全員フィンランド人(正確には1人は元々はアメリカ出身だが、10年ほど前にフィンランドに移住し、その後にフィンランド国籍を取得)。

そして、僕以外全員Hive Helsinkiという、このハッカソンのほんの2~3か月前にできたばかりのプログラミングの専門学校の関係者でした。この学校には約1万人が応募しており、入学テストを受ける事ができたのは360人、その内実際に合格して入学できたのは142人だそうなのですが、4人ともテスト受験の360人までには残り、内3人は実際に入学しています。

このHive Helsinkiに関しては、また後日別の記事でもう少し詳しく書きますね。

僕はこのチームに暖かく受け入れてもらえたおかげで、基本的にハッカソンの開催期間中は楽しく過ごす事ができました。寝不足だとかそういった意味で一部ツライ事はあった事はあったけど。

ハッカソン初日、本格的にプロジェクトに取り組む前に記念撮影。

作業中にちょっとだけ抜け出して1枚。光り輝き過ぎなオレ氏のPC.

まぁこんな感じで僕はチームメイトとの関係はそれなりに良かったとは思うのですが、中にはけっこうギスギスした関係になってしまうチームもいくつかあったそうです。チームのメンバー間で意見が折り合わず、口論になってそのまま解散とか。そういうチームは大会最終日を待たずしてプロジェクトを諦めてしまう事になるので、せっかくの機会がもったいないと思います。

酷い所だと、怒鳴り合いしてる所とかもあったのだとか。僕は直接見てはいないのですが、大会2日目の夕食の時辺りでチームメイトから「〇〇のチーム、最終日を待たずに解散なんだって」的な話を聞きました。

こうしてみると、やっぱハッカソンのチームってなんか駆け出しのバンドみたいだな~と思います。うまく噛み合えばすごく仲良くなって固い絆で結ばれた仲間になれるけど、そりが合わないと大ゲンカにだってなり得る。また、優勝とかすると一気に企業から注目されるのはなんか新バンドが初めてのヒット曲出したみたいな感じですかね。

ハッカソンに持ってくと便利なもの

実際に参加してみて思ったんですけどね、今後ハッカソンに挑戦する予定のある人は、箸かゴム手袋のどっちかを持ってくといいと思います。

ハッカソンって大会期間中はほぼぶっ通しでコードを書き続けるので、当然夜遅くになっても起き続けてるになります。そうすると、夜食にお菓子ぐらいは食べたくなるんですよね。

で、夜食の定番といえばポテチです。でもポテチって脂っこいので、素手で食べるとすぐ手がベタベタになるじゃないですか、そんな状態でパソコンなんて触れないし、だからといっていちいちトイレに行って手を洗うのもバカバカしいんですよね。

そこで箸とかゴム手袋があると便利なんです。手を汚さずに食べられるから。僕は当時はゴム手袋の代わりに他のお菓子の空のビニール袋を手にかぶせてポテチをつまんでました。

あと、チーム内に誰か1人でもスマホの月々のデータが使い放題な人がいるかどうかも確認しとくといいと思います。今回のハッカソン、どういうわけか大会側の用意したWiFiに途中から繋がらなくなっちゃって、PCでネットが使えなくなっちゃったんですね。僕以外にも同じ問題を抱えてる人は同チームにも他チームにもいました。で、結局すぐ直らなさそうだったので、チームのメンバーのスマホ経由で僕のPCをネット接続させてもらいました。

他には持ち物は基本的には運営側からの連絡メールでお知らせされます。「会場内の無料宿泊施設を利用したい人は自分で寝袋を持ってきてください」というのも事前に知らされてたので、僕はオーランド諸島内のClas Ohlsonでお手頃な価格の寝袋買っていきました。20ユーロぐらいだったかな。

ハッカソン成功の三大要素

今回初めて参加したハッカソン。楽しんで、尚且つ勝利という結果を残すためには、たぶん次の3つの要素が必要になると思います。

1つ目は開発力。これはプログラミングの技術力だったり、どんなプロジェクトにするかといった発想力だったり。

2つ目はコミュニケーション。どんなに個々の技術力が高くても、ハッカソンはあくまでチーム戦なので、メンバー間での意思疎通がスムーズにいっていないと噛み合わないんですよね。先ほどの途中で空中分解してしまったチームも、もしかしたら技術面だけで見れば1人1人は優れていたのかもしれませんし。

そして3つ目は運ですね。いいチームメンバーに恵まれるかどうかって、ぶっちゃけ運ゲーな部分ってありませんかね。だって会って話してみるまで、または実際に一緒に作業してみるまで「この人と上手くいくかなー」なんてわかんないですもんねー。そして相手がダメな場合、いくらこっちがコミュニケーションを頑張ったって限界がある。

実際、僕はハッカソンの前夜祭の更に1日前はトゥルクという街に1泊していたんですが、たまたまそこで同じ宿に滞在していたニュージーランド人のオッサンは「あ、コイツ話通じねー奴だわ。話すだけ時間のムダムダ」と思うような奴だったため(しかも態度も悪い奴だった)、早々に会話を切り上げました。こいつがハッカソンでのチームメンバーだったら僕も2日目で解散してたかもですw

さて、本記事の途中でも少し触れましたが、次回は僕のチームメイトと深いかかわりのあるHive Helsinkiというプログラミングスクールについて書く予定です。お楽しみに!