フィンランドの助け合い文化と平等主義【でも「出る杭は打たれる」ではない】

僕はフィンランドの大学の語学留学や交換留学ではなく、現地の学生たちと同じ正規の(3年半~4年の)学部プログラムに入学して勉強していますが、ここで感じるのは、生徒間の競争意識よりも、助け合いの意識の方がよっぽど強いという事です。

例えば、僕は日本を出る前の時点で、外国人がこの学部に入るためのスウェーデン語力テストB2(英語でいうと英検準一級ぐらいに相当)には合格していたし、C1(英語で言う英検一級)にも合格まであと少しだった(リーディングが2点足りなかった)ものの、現地での実際の授業となると特に聞き取りに難があり(←1番ダメなパターンやないかw)、特に新学期が始まったばかりの頃は僕1人だけが先生の指示を理解していないなんていう状況がよくありましたが、それでも周りの生徒たちは親切に僕に補足説明をしてくれました。

特に最初の2週間ぐらいは自分自身で振り返ってみても、スウェーデン語での僕の授業の理解度はなかなか酷いものでしたが、そんな授業についていけてないお荷物状態の僕の姿を見ても、「何でお前その程度のスウェーデン語力でここにいるんだ」みたいな態度の人は全くいませんでした。

むしろ困っている生徒がいれば、できる生徒が助けて当然みたいな感じになっており、それはペアワークやグループワークの時に特に感じました。4人グループで協同プレゼンに取り組んだ時も、メンバーの中で一番優秀な生徒が率先してリーダーシップを取ってくれて、ミーティングやFacebookのグループ上での調整をしてくれたり、スウェーデン語でのプレゼンの経験が浅い僕に気を配って、パワーポイントで僕が担当していた部分のスライドをチェックして丁寧なアドバイスをするという事を、僕が頼まなくても自発的にやってくれていました。(正確にはパワーポイントではなくGoogle slideを使っていたため、直接会わなくてもいつでもオンライン上で共同ファイルをチェックできる)

他の授業で他の子と2人1組で協同プレゼンをした時も同じように、丁寧なアドバイスやこまめなリマインダーを送ってもらえ、そのおかげもあり僕もプレゼン当日にはみんなとほぼ同じぐらいの出来のプレゼンを披露する事ができました。

先生に関しても、気の利く先生になるとテストやレポートの際に「もしまだスウェーデン語でやるのが難しかったら、英語で出しても大丈夫だよ^^」と一声かけてくれたり、僕のわかってなさそうな部分を再度英語で補足説明してくれたりする人もいました。

そんな僕も常に助けてもらいっぱなしかというと、一応そうでもない時もあります。例えばC言語を使ったプログラミングの授業では、僕よりもC言語の知識の浅い生徒はクラス内に一定数いて、僕の方が先に課題を終えているのを見た近くの生徒が時々僕に質問してくるなんていう事もあったので、そういう時は逆に僕がアドバイスをしていました。

自分がクラス内の他の生徒よりも優れているか劣っているかを気にする事はどうでもよく、それよりも助けが必要な人に手を差し伸べる事に重きを置く文化のようです。これはある意味では平等主義と言えなくもないかもしれませんが、「出る杭は打たれる」的なネガティブな平等主義ではなく、「まだ出っ張れていない杭があるなら、その杭も出っ張れるように引っ張ってあげればよいではないか」というポジティブな平等主義であると思います。

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