英語リスニング上達のコツ!聞き取れない3つの原因とその対処法【〇〇を広げるべし】

以下の動画でも同じ事を喋っているので、記事を読まなくてもラジオ感覚で聴くのもありです。

動画:リスニング上達のコツ!外国語が聞き取れない3つの原因とその対処法

一部、字を読むのではなく音を聞かないと伝わらない部分がありますので、そういった部分に関しては記事内で動画のどの部分を見ればよいのかをピンポイントで指示します。

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さて、今日はリスニング上達のコツについて話していきます。この動画を見ている人のほとんどは英語を勉強中の日本人だと思いますが、他の言語を勉強中の人でも同じように参考になります。同じロジックをどの言語にも応用できますので。

僕の知る限りでは、リスニングに難がある場合、考えられる理由は3つです。そして、3つの理由を説明した後、その対処法についてもお話していきます。


聞き取れない理由1:単語そのものを知らない

外国語が聞き取れない1つ目の理由は、そもそも単語そのものを知らないという事。例えば、上の動画の(0:44~0:48)の部分を聞いてみてください。

これはスウェーデン語の文なのですが、みなさん、どれか1つでも単語聞き取れましたか?たぶん1つも聞き取れてないと思います。わざと英語に似た単語が1つも入ってない文にしましたので、既にスウェーデン語が喋れる人でなければわからないはずです。

たまに「単語を知らないから聞き取れないというのは間違ってる!原因はそんな事じゃなくて他にあるんだ!」という人を見かけませんか?たしかに「単語を知らない」以外にも原因がある場合はありますが、この「単語自体を知らない」が原因になる事だって意外としょっちゅうあるんですよ。だって実際、みなさんさっきのスウェーデン語の文、一単語たりとも聞き取れなかったでしょ?それは「知らない単語は聞き取れない」からに他ならないからなんです。

また、「知らない単語は聞き取れない」の法則は、現在外国語を勉強中の人だけでなく、ネイティブスピーカーにも当てはまります。例えば、僕は本名はShinichiというのですが、英語やスウェーデン語で初対面のネイティブ相手に喋っている時に名前を聞かれて、「Shinichiです」と答えると、かなりの確率で「え、何?」と聞き返されます。英語でもスウェーデン語でも僕の名前の部分以外は全部一発で通じているのに、Shinichiという名前の部分だけが聞き取ってもらえません。

逆に、過去に日本人との交流があるなど、日本人の名前にある程度馴染みのある人が相手であれば、それが英語圏の人でもフィンランド人でもスウェーデン人でも一発でShinichiを聞き取ってもらえます。それが知っている単語なのかどうかというのはそれだけ大きな差を生むという事ですね。

聞き取れない理由2:音の前後のつながりによって音が変わってしまう

外国語が聞き取れない2つ目の理由は、単語と単語が前後で繋がり合い、音が混ざって変化してしまい、その変化に対応できていないからです。例えば、冒頭の動画の(2:38~2:40)の英語を聞いてみてください。

みなさん聞き取れましたか?

「え?テラスがどうかしたの?」

みたいに思ってしまった人、いませんか?

あえて無理やりカタカナで表現すると、これは

「テル(Tell) アス(us) アバウト(about) イット(it)」

なのですが、自然な英語ではもちろんこんな発音はしませんし、

TELL👏US👏 ABOUT👏IT

のように1単語ずつ区切って言う事も一部の例外を除いてありません。この例外については、少し後で説明します。

TellとusのLとUが繋がって音が混ざり「テラス」みたいに聞こえる発音になり、usとaboutのSとAが繋がり、この部分は「サバウト」みたいになります。更にaboutとitのTとIも繋がって、TがDの音のように濁って「アバウディ」のようになります。最後のitのTはほとんど発音されません。

従って、Tell us about it.全体をカタカナで無理やり書き直すと「テラサバウディッ」のようになります。これを「テル アス アバウト イット」という風に読むと思い込んでいると、「テラサバウディッ」となった時にそのギャップについていけず、簡単な単語しか使っていない文でも聞き取れない、というわけです。

さて、ここまで説明しても「なんで単語と単語を繋げて音を変化させるんだよ!一単語一単語区切って発音しろよ!」と不満に思う人もいるかもしれません。実は僕も昔英語の勉強を始めたばかりで日本語しか喋れなかった時はそう思っていました。でも、これは違うんですよ。英語で一単語一単語区切って発音するというのは、日本語で言えば一文字一文字区切って発音するのと同じようなものなんです。

みなさん、普段日本人同士で日本語で喋ってる時、一文字一文字区切って発音しますか?しないですよね。もし日本人同士でそんな喋り方をするとしたら、それは次のような例外的なケースぐらいなものでしょう。

例えば、

「出てく時はドアを閉めてくれる?」
「あの、出てく時はドア閉めてほしいんだけど」
「あの、頼むからドアはちゃんと閉めて…」

…………

「ド・ア・を・し・め・ろ!!!!」

みたいに、「怒っている時」とかですね。

英語でも、英語がまだ苦手な初心者相手に丁寧に喋ってあげている時は別ですが、ネイティブ同士で一単語ずつ区切って発音する時というのは、これと同じように怒っている場合など、意味を特に強調したい時ぐらいしかないんです。

ちなみに、ネイティブで親切な人は単語を区切ってゆっくり発音してくれるかもしれませんが、普通はそういう喋り方はしてくれません。これは立場を逆にしてみればわかりますね。僕たち日本人だって、日本にいる外国人相手にどれだけ「手加減した日本語」で喋っているというのでしょう?少なくとも、「一文字一文字区切った日本語」では喋っていないのではないですか?

聞き取れない理由3:異なる発音に慣れていない

外国語が聞き取れない3つ目の理由は、異なる発音に慣れていないという可能性が挙げられます。これは2つ目の理由の「音が繋がって混ざって変化する」と似ているように思えますが、僕は別のものとして考えます。なぜなら、基本的にネイティブは理由その2が原因で聞き取れない事はほぼないのに対し、この理由その3はネイティブでも聞き取れない原因になりうるからです。

例えば、僕は以前オーストラリアに住んでいた時に訪問販売系のセールス会社で働いていた事があるのですが、そこでセールス研修を担当していた人が典型的なオーストラリア英語の人でした。その人は見た目がストⅡのザンギエフみたいな感じで、セールストークの技術的な指導は全然やらずにひらすら根性論を振り回す人でした。で、ある日このザンギエフは研修中にこんな事を言ったんですね。

「お前たち、グッドとかそんなレベルで満足か?そんなんじゃダメだ!俺はグッドとかいう言葉を聞くのが大嫌いなんだ!俺が聞きたいのは、グレート、オーサム、ファンタスティックだ!」

実際にはザンギエフは英語で喋っていましたので、英語の原文は次のような感じです。(どんな発音かを聞くには、冒頭の動画の7:00~7:10部分を参照)

Guys! Are you satisfied with just being good? No, you shouldn’t be! I hate to hear “good”! What I wanna hear is “great”, “awesome”, “fantastic”! 

この文の途中に出てくるhateという単語は「~が大嫌い」という意味。アメリカ英語では「ヘイト」と発音されます。日本のニュースとかでも「ヘイトスピーチ」って言葉はでてきますよね。ところが、オーストラリアではこれを「ハイト」と発音する人も少なからずいますので、これを意識しないまま聞いていると、「ハイト」を「大嫌い」の意味であるhateと認識できず聞き逃してしまう、というわけです。 

自分の頭の中では「この単語はこう発音されるものだ」と思っているのに、それと違う方法で発音されるという状況に遭遇すると、ネイティブといえども聞き取れません。

アメリカ人がオーストラリアやニュージーランドなどに行くと、英語のネイティブ同士なのにもかかわらず最初の1か月ぐらいはお互いに何言ってんのかわからないという事がよくあるそうですが、それはこのhate「ヘイト」の例のような、自分の期待している音とズレた音で聞こえるという現象が会話のあらゆる所で生じるからなんですね。

ネイティブ同士ですらこれなのですから、ノンネイティブの英語でも当然このような問題は生じますし、各国の訛った英語が聞き取りにくいのもこれが大きな原因の1つ。聞き手側が期待しているのと違う発音で喋ってくるからなんです。

例えばアラビア語訛りの英語では、Your ageを「ヨルエジ」みたいに発音する人がいますし、タイ語訛りの英語ではSeparateを「サプレ」みたいに発音する人がいます。

これも、アラビア語訛りやタイ語訛りの人と喋る時にはこういう風に聞こえてくる可能性があるのだと、予め音の変化のパターンを知った上で聞いていないと、訛った英語はなかなか聞き取れないんですね。

対処法:守備範囲を広げろ

さて、ここまで外国語が聞き取れない3つの原因を説明しましたが、どれに対してもその対処法は一言で表現できます。それは

「自分のリスニングの守備範囲を広げる」

という事です。

単語自体を知らないから聞き取れないのも、単語が前後で音がつながって変化するから聞き取れないのも、異なる発音に慣れてないから聞き取れないのも、自分の対応できるリスニングの守備範囲の外のものだから聞き取れないんです。ならば、守備範囲を広げてやれば次回からは広げた分だけ聞き取れるようになります。

大事なのは、1回や2回聞き取れなかった程度で「自分にはリスニングの才能がないのだ」と思い込まない事。聞き取れなかったのであれば、今回紹介した3つの理由のどれに当てはまるのかを分析しましょう。聞き取れなかった原因に応じた対応をその都度その都度積み重ねる事によって自分の守備範囲が少しずつ広がり、聞き取りミスが徐々に減っていきます。

Shinichiという名前をどう書いてどう発音するのか知らなかった英語圏や北欧の人たちも、知った後でなら聞き取れる。Tell us about itも「テル アス アバウト イット」ではなく音が繋がって変化する事を予め理解して聞けば次からは聞き取れる。例え強いアラビア語訛りでも、Your ageが「ヨルエジ」みたいに発音される事を予め知っていれば次からは聞き取れる。

要は「知っているかいないか」、「自分の『こう聞こえるだろう』と予想する音と実際に発せられる音にギャップがあるかないか」、外国語を聞き取れるかどうかは実はそれだけの問題なのです。

気を付けて欲しいのは、わからなかった部分をほったらかしにしていたらわからないままであるという事。わからなかった箇所が10個あったとしたら、一度に10個全部を潰す必要はありませんが、少しずつでもよいのでわからない部分を減らす努力に取り組みましょう。それが自分の守備範囲を広げる事につながります。

また、この守備範囲はいきなり広範囲に拡大する事は非常に難しいという事も頭に入れておいてください。これはもう念能力みたいなモンなんですよ。念能力でも「円」ってあるじゃないですか、あの「自分のオーラを自分自身を中心にして円状に広げて、そこに入ってきたものをあたかも自分の皮膚で直接触ったかのごとく感知できる」っていうあれです。

あれも使い手によって円を広げられる範囲って違うじゃないですか。「達人の領域」といわれる50mぐらいまで広げられる人もいれば、4mが限界のノブナガみたいな人もいるわけです。

で、この「円」を広げられる範囲って、4mの人がいきなり50mとかにまで拡大できるモンじゃないんですよね。リスニングの守備範囲も同じく急激に広げられるものではないんですよ。少しずつ慣れて少しずつ範囲が拡大できるものなんです。

まとめ

今回のポイントをまとめると、

外国語が聞き取れないのには3つの理由がある

そして、その3つとは、

1:単語そのものを知らない 
2:単語の音が前後でつながって変化するのについていけていない 
3:発音の仕方そのものが異なっていて、それに対応できていない

そしてその対処法は、

「自分が今聞き取れなかったのは3つの原因のうちのどれにあたるのかを明らかにし、それに応じた方法で自分のリスニングの守備範囲を広げる事」

となります。

先ほども言いましたように、この守備範囲をいきなり大幅に広げるのは難しいので、地道にコツコツ聞き取れないパターンを潰していき、徐々に対応できる範囲を広げるようにしましょう。