英語の文法の基礎はどこまで徹底的に勉強すべきか?

当ブログ記事とほぼ同じ内容の動画をすぐ下に埋め込んでいます。文章読むより動画のが好みな人はポチっとクリックして見てください(^^)

前回の記事では、英語のようなメジャー言語でもスウェーデン語のようなマイナー言語でも、無料でリーディングの教材を確保できるノウハウを1つ紹介しました。英語に限らず語学には

リーディング(読む)
リスニング(聴く)
ライティング(書く)
スピーキング(喋る)

の4つの要素があり、前の記事で紹介したリーディング用のノウハウ以外に、もちろん他の3つの要素のためのノウハウもあり、それらも書こうと思ったのですが、その前に「あ、これも忘れないうちに書いとこう」と思い出したトピックがあったので、今日はそちらのトピックについて書こうと思います。


「文法ミスは気にするな」VS「文法はしっかり覚えろ」の論争について

日本での英語教育の話になると、必ずと言っていいほど出てくるのがこの論争です。

「文法の間違いなんか気にするな。そんな事を気にしていたらいつまでたっても喋れるようにならないぞ」

という人がいる一方で、

「何を言うか。ちゃんとした文法を身につけなければ、語学力はある程度の所で止まってそこから伸びなくなるのがオチだ。最初にしっかりとした文法を身につけておく事が何よりも肝心なのだ」

という人もいます。

このように2つの相反する主張が対立していると、一体どちらの言い分が正しいのかと疑問に思う事でしょう。ですが、その疑問に対する僕の答えは、

「どちらの主張も半分だけ正しい」

です。

2種類の文法ミス

なぜ「どちらの主張も半分だけ正しい」などという、一見中途半端に見える結論になるのでしょうか?

実は、文法ミスには大きく分けて2種類あり、

「文法ミスは気にするな」派の人の論じている文法ミス

「文法はしっかり覚えろ」派の人の論じている文法ミス

はそれぞれ別の種類のものなのです。

その2種類の文法ミスは、TEFL(Teaching English as a Foreign Language)やTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)などの英語教授法の分野では、

・ローカルエラー
・グローバルエラー

と呼ばれています。

以下にそれぞれ説明していきます。

ローカルエラー

2種類ある文法ミスのうちの1つ目はローカルエラー。これは、

「文法ミスではあるけれど、文章全体の意味を壊してしまうほど深刻ではないもの」

として定義されています。

例えば英語で言えば、「彼らはそれについて知らない」という文を英語で

They doesn’t know about it

というのは文法的に間違いです。Theyは複数名詞なので、単数名詞に用いられるdoesn’tではなく、don’tを使うのが正しい形となります。同様に、

Japanese people is very nice

も間違いですね。peopleは複数なので、単数形のisではなく、複数形のareを使う必要があります。

これらの上記の英語は「文法的に間違った英語」ですが、言いたい内容自体は英語ネイティブが相手でも普通に問題なく伝わります。

これ、立場を入れ替えて考えてみるといいかもしれません。例えばまだ日本語が流暢ではない外国人が

「そんな風になったら、やだじゃない?」
「それは違うだと思うます」

とか言ってきたとします。これらの日本語は文法的に間違いで、正しくはそれぞれ

「そんな風になったら、いやじゃない?」
「それは違うと思います」

となります。で、これらの日本語は確かに文法は間違えてるんですが、言いたい事はちゃんと日本語ネイティブの僕らにも伝わってるんですよね。

これこそが、「文法ミスは気にするな」派の人たちの主張なのです。

語学とはコミュニケーションであり、コミュニケーションにおいて最も重要な事は

「自分と相手の意思疎通ができている事」

です。文法ミスをしないようにしないようにと考えすぎて、その結果コミュニケーションがとれていないようでは本末転倒です。その一番大事な部分である「コミュニケーションを取る」という部分を練習するために、

「文法ミスは気にしないでいいから喋ってごらん」

という事なのですね。

グローバルエラー

一方で、文法ミスにはグローバルエラーと呼ばれるものもあり、これは

「文章全体の内容を壊してしまい、話し手の本来の意図が伝わらなくなってしまうもの」

と定義されています。つまり、

「何を言ってるのか理解してもらえなかったり、誤解を招く恐れのある文法ミス」

とも言えます。

グローバルエラーに分類されるような文法ミスは、特に英語と日本語のような全く性質の異なる言語間で起こりやすいんですね。英語には英語の文法、日本語には日本語の文法と、それぞれの言語にはそれぞれの文法があるのに、自分の言語の文法に無理やり当てはめて文章を組み立てようとすると意味をなさない文章になってしまう事がよくあります。

例えば、僕は以前Google翻訳を使ってこんな遊びをしてみた事があります。僕と海外の友達との英語での文章のやりとりを丸ごとGoogle翻訳にかけたらどうなるのか?というものです。Google翻訳は「スウェーデン語 – 英語」や「韓国語 – 日本語」のような文法が似た言語同士だとけっこうちゃんとした内容の訳になるのですが、「英語 – 日本語」のような全く文法の違う言語ではよくメチャクチャになるんです。

で、以下がGoogle翻訳による僕とその友達の英語でのやりとりの日本語訳です。

あああなたもフランスにしてきた!それはフランス人が英語を話さないというのは本当ですか?私の友人の一人は週におそらくそこに滞在していると彼は笑フランスで彼の旅行中に英語を話すだけ二人に会ったと述べた。あなたは、同じまたは似たような状況を持っているか? 私はそれもあまりテレビを見ない。私の理由は、私が滞在場所でそう多くのテレビチャンネルが(多分70)が存在することだと私は見ているチャンネルがわからないと私はそれを見ている気がしない^ ^; 私は最近それを見しようとしているので、私”1月の第2週までの休暇で、mと時間には余裕がある。 ああ漫画は、あなたが興味を持って行った!日本のマンガは世界中で非常に人気があり、私がいる。したいと 考えるいくつかの日本語の単語や方法をうん他の言語に翻訳することはかなり難しい、とそれが時にはそれがスウェーデン語に翻訳されていない理由です。 これは、日本は武士と中世のあったのは事実だ長い間。時々私が笑今はまだ日本で道を歩いて剣を持つ侍が存在すると考える人の数でびっくりしました。 長い”ファンレター”を書き込む謝罪に何もない:D これは、むしろ私たちはより良い我々自身の国を理解するのに役立ちます。私の印象では、人々は主に関係なく、国の負の点から許可し、ポイントのため、自国の良い側面を取る傾向がある。 しかし、我々はより簡単に他の国の誰かがそれについて告げるときに我々自身の国の良い面を実現することができます。私はあなたにも宗教的な問題によって引き起こされる戦争の言及はなかったまでそれについて^ ^ 私は北欧の国々に興味がある多くの理由がありますので、私はそれらのいくつかをピックアップし、それらをご紹介できます。 北欧諸国はであるこれらの日これらの国が”世界幸福ランキング”で非常に高いランクされているため、人々の注目を集めて。それはそれの彼らの定評のある福祉のおかげで、教育制度や政治の腐敗の最下位レベルと言われています。 私はスウェーデン、デンマーク、およびフィンランドについてのいくつかの本を買って、そしてより多くの国々と魅了。 そして、私は実際にいくつかを満たしてそれらの国々から人々 、そして私が何を私が読んだことが本当だったことを知った。 多分私達は私達の両方が初心者なので、我々はこれまでにやったような簡単な説明と私たちの母国語で、いくつかのフレーズを追加し続けることができる。 私は持っていないあなたはそれが英語に似ているための説明とスウェーデン語で書かれたものは、問題の理解。 何について書かれた日本語?あなたは私が変更したいものがあるか? これからもよろしく:)(Korekara MOよろしく) (現在でも上から、お会いできてうれしい)→多分()我々の良好な関係を保つホープ

意味不明すぎて読めたモンじゃないでしょう^^;

詳しいアルゴリズムは知りませんが、これはおそらく、Google翻訳が英語を日本語に直す時に無理やり英語の文法を基に日本語の文を組み立ててしまうからこうなってしまうのかなと思います。(しかもこのやりとりをしていたのは2012年なので、今のGoogle翻訳よりもだいぶ精度の低いものだと思われます。)

これはつまり、僕たち日本人が英語などの日本語とは全く文法の違う言語を喋る時に、その言語の文法に沿わずに文章を組み立てると、相手からしてみたら上の文章みたいなメチャクチャな文に聞こえるおそれがありますよ、という事です。

で、これが「文法はしっかり覚えろ」派の人たちの主張の根拠なのですね。

以前

という記事でも述べましたが、文法とは読んで字のごとく

を組み立てる時に従うべき則」です。

ここからあまりにも逸脱しすぎると、何を言いたいのか全く伝わらないという状況に陥りやすくなってしまいます。

まとめ

さて、ここまでローカルエラーとグローバルエラーの2種類の文法ミスがどんなものであるかを説明してきました。この説明の後でなら、なぜ「文法ミスは気にするな」派の人と「文法はしっかり覚えろ」派の人の言い分がそれぞれ「半分だけ正しい」と言えるのかがおわかりになると思います。

「文法ミスは気にするな」派の人の主張は、ローカルエラーに関して言えば確かにその通り。

「文法はしっかり覚えろ」派の人の主張は、グローバルエラーに関して言えば確かにその通り。

問題なのは、「文法ミスは気にするな」派の人と「文法はしっかり覚えろ」派の人のどちらも、おそらくその多くはこの「文法ミスには2種類ある」という概念をよく理解していないのではないか?という事です。

だから「文法ミスは気にするな」派の人は「とにかく文法なんか気にするな!」と言って文法を軽視してしまいがちだし、「文法はしっかり覚えろ」派の人は「とにかく文法の勉強に集中しろ!」と言ってコミュニケーションの練習を軽視してしまいがちなのです。

以前書いた記事

でも述べた通り、文法と会話の練習は両輪であり、どちらか片方だけをやっていればよいというものではありません。特に初心者~中級者のレベルでは文法も会話力もどちらも不十分ですから、どちらにもバランスよく時間を割いて練習する必要があります。

そして、どこまで「文法をしっかりやって」、どこから「文法ミスは気にしない」でいいのかのさじ加減はどうすればいいのかといえば、上記のようにローカルエラーとグローバルエラーを基準にすればいいと思います。

つまり、

「自分の言いたい事が伝わる程度にしっかりした文法を身につけ」
「文章全体の意味を壊さない程度の小さい文法ミスだったら最初のうちは気にせず、会話に慣れる」

という事です。

初心者や中級者のうちは、最初から

「完璧な文法で」
「ペラペラ喋る」

の両方をこなす事はできません。小さい文法ミスは後からでも直す事はできますので、まずは上記のようなさじ加減で文法と会話の練習に取り組んではいかがでしょうか。

ブログランキング参加中です!気に入っていただけましたらクリックをお願いします!
にほんブログ村

にほんブログ村 外国語ブログ 語学学習法へ