Page 86:海外の就活でもOB訪問がオススメな3つの理由

僕は日本で高校卒業した後は普通に日本の大学に進学し、いったん日本で就職してしばらく働いていましたが、2017年の8月からフィンランドの4年制大学に入り直して勉強しています。

既に日本の学位を持っているのに何でまたわざわざフィンランドで大学に入り直すのかというと、その答えはシンプル。

フィンランドに移住したいからです。

フィンランドに限らず海外移住においてはビザが必要なのですが、一般的に言って最速且つ最も確実にビザが出るのは「現地人との国際結婚」です。

ただしこれは当然「お相手」がいる人のみに当てはまる話で、僕みたいに独り身の人が移住したい場合は別の方法を考えなければなりません。

そこで出てくるのが学生ビザ。どの国も基本的に労働ビザはいきなりは出ない一方で、「あなたの国で勉強したいので長期滞在させてください」という名目の学生ビザはゲットしやすいのです。これでまずは合法的に入国&長期滞在しちゃって、入国してから現地で労働ビザや永住権につながる基盤を作っていく、というわけ。

フィンランドでは、大学に入った後の就職までのルートは主に2通りあります。

1つ目は、インターンシップ(サマージョブ含む)で現地の職場に潜り込み、そこで気に入ってもらってそのまま正規採用してもらうという方法。「今は経験が浅くても、見込みのある新人を育てて、いずれはウチの戦力になってもらおう」という、日本の新卒一括採用と少し似たような性質があります。

2つ目は、仕事を募集中の空いたポジションに応募するという、いわゆる「普通の就活」です。これは感覚的には日本でいう「中途採用」に近く、経験を積んでいない人は不利になりやすいです。

以前の記事

でもお話したように、僕はサマージョブは既にゲットしています。フィンランドではサマージョブで入った職場でそのまま正規採用してもらえるケースも珍しくないので、うまくいけば僕もこのまま今の職場で正社員になれる可能性もなくはないです。

でも、人生なんでもかんでも自分の都合のいい方向ばかりに進むとは限らないもの。滑り止め受験と同じく、第一希望が通らなかった時のための「プランB」も常に考えておくのが得策だと思います。

したがって、今のサマージョブの職場での正社員採用に至らなかった場合のために、他の会社でも採用されるためには何が必要なのかを今のうちから考える必要があるのですが、その情報収集を効率よくしてくれるのがOB訪問なんですね。

この記事では、

・僕がどうやって「OB訪問」を実現させたか

・僕が考える「OB訪問」の3つの利点

をそれぞれ紹介していきます。


【OB訪問の足掛かり:上級生と接触するチャンスを逃すな】

日本だけでなく海外においても、大学に入って卒業したら就職というコースを狙っている場合、同じ学部の先輩とは何らかの形で接触しておくとよいです。

僕の場合は「卒論の発表会」がいい機会となりました。一般的に、フィンランドのスウェーデン語圏やスウェーデンでは、大学を卒業するためには

Examensarbete(エグザメンスアルビェテ)

というものに取り組まなければなりません。日本の大学を卒業するためには卒業論文を書かなければならないケースが多いのと同じです。

このExamensarbete、普通に論文を何十ページにもわたって書いて完成させてもいいのですが、少なくともオーランド大学のIT系学部の場合は、論文の代わりに

「何かIT系のプロジェクトに取り組む」

というのでもOKだそうです。

発表会は大学内全体に公開されており、下級生も4年生の発表を見られるようになっています。出席して見てみた所、論文ではなく「IT系プロジェクトの発表」をしている人が1人だけいたので、僕はこの人に目をつけたのでした。

なぜこの人に目をつけたのかというと、僕も彼のように論文ではなくプログラミングで何かExamensarbete用の成果物を作れば、それをそのまま大学卒業後の就活でも後述の「ポートフォリオ」として使えるのではないかと思ったからです。

そこで僕は発表会を主催していた先生に「論文ではなくITプロジェクトの発表をやってたあの人の連絡先を教えてくれませんか」とお願いしてみました。ここオーランド大学では学生1人1人に大学用のメールアドレスが割り当てられているので、そのアドレスを教えてもらったのでした。

連絡先をゲットしたら早速本人にメールです。

「先日のExamensarbeteの発表会を見て、あなたの発表内容に興味を持ったのでいろいろと質問してもいいですか?」

といった内容でコンタクトを取ってみたところ、快くOKしていただき、

「なんなら直接会って聞いてくれてもいいよ」

と向こうから直接会う事まで提案してもらえたので、是非にという流れで会って話をする事になったのでした。

【OB訪問の利点1:やっておくべき準備がわかる】

先ほども少し触れたように、僕がこの人に目を付けた理由の1つとして、

「ポートフォリオ作りの参考になるかもしれない」

というのがあります。

IT系の就活における「ポートフォリオ」とは、

「自分はこれまで学んだプログラミングの知識や技術を使ってこんなものを作ってきましたよ!」

というのを証明する、「成果物をまとめたファイル」です。

IT系の会社に未経験者が就職するには、自分の実力やポテンシャルを示すためにもポートフォリオを用意するのは必須であるとも言われています。

でも、このポートフォリオ、ただやみくもに作ればいいというものでもありません。例えば以下の動画で現役エンジニアの方からも指摘されているように、

「教材に載っているサンプルコードを写経したりそれにちょっと手を加えた程度のものでは、自分の実力ややる気を示す『オリジナルの作品』とは呼べない」

ようです。

そのため、既に実際にExamensarbeteでプロジェクトを作った先輩から話を聞けば、どんな作品をどんなレベルで作ると今後の自分のExamensarbeteやポートフォリオ作りのためになるのかな、という大まかな目安になると思ったのです。

【OB訪問の利点2:避けるべきエリアがわかる】

今回僕がコンタクトを取ったこの先輩はこの時点で大学4年生なのですが、卒業前から既にフルタイムでIT系企業で働いています(←フィンランドではあまり珍しいケースではない)。

これは質問してみて初めてわかった事だったのですが、僕としては嬉しい誤算でした。というのも、こういう人と接触できれば、実際にIT企業で働いている人の

「現場の生の声」

が聞けるからです。

企業説明会では会社側は自社の良い所しか教えてくれないのに対し、大学の先輩は悪いと思った部分も率直に教えてくれる事が多いと思います。自分が今の職場で何か「マズイな」と思った事があれば、後輩には同じ思いはしてほしくないと思うのが、「まともな感性を持った人」の発想だからです。

この先輩が現在働いているIT企業は、オーランド諸島に住んでいる人であれば知らない人はほとんどいないというレベルで有名な会社のうちの1つなのですが、彼はこの会社について世間一般にはあまり知られていない「闇の部分」を2つ教えてくれました。

1つは、プログラマーとしての仕事に応募してもプログラマーとして採用してもらえない事も結構ある、という事。実際、彼はこの会社ではプログラマーとしてではなく「モニター」として働いています。「モニター」という名の通り、会社のシステム全体を複数のスクリーンで監視し、何か異常が発生すればそれに対処するという内容らしく、プログラミングの知識とは関係ない仕事だそうです。

しかも彼の話によると、「プログラマーの仕事に就こうと思ったのに全然違う仕事に就く事になった」という経験をしたのは彼だけではありませんでした。オーランド大学のIT科の学生には僕よりも圧倒的にプログラミングのレベルが高い学生が何人もいるのですが、そのうちの1人も彼と同じようにプログラマーではなくモニターとして採用されていた、というのです。

実はこの会社、僕も「Java開発プログラマー」としてのサマージョブのポジションに応募していたのですが、僕は落とされました。でももし採用されてたら僕もモニターの仕事やらされてたのかもと考えると、今となっては落とされて逆に良かったと思います。僕がサマージョブをゲットした会社ではちゃんとプログラミングをやらせてもらえますもん。

2つ目の闇は、この会社は部署によっては労働環境がよろしくないという事です。この会社にはJava開発のプログラマーとしての仕事はたしかにあるのですが、この部署は管理職の仕事ぶりが残念なもので、そのしわ寄せとして末端の従業員(プログラマー)たちの労働負担が無駄に大きくなっているそうです。

この先輩からは、

「Java案件自体は悪くはないんだけど、あの会社のJava開発、特にカード決済の部署はやめた方がいい」

と警告されました。

こういうのって、やっぱりその職場の中まで実際に潜り込んだ人じゃないとなかなかわからないんですよね。

僕が日本で働いていた時は最初の職場はブラック(高校で英語の先生)、2つ目の職場は「ホワイト企業ランキング」で上位に食い込むほどのホワイト企業でした(←派遣社員だったけど)。なので一応ブラック・ホワイト両方知っているのですが、このホワイト企業も部署によってだいぶ違うみたいでした。全体的には残業は少なく、社員の人間関係も良かったのですが、部署によっては労働環境が悪く雰囲気もギスギスしている所もあったそうです。これもホームページを見たり企業説明会に参加する程度ではわからないトコですよね。

基本的にどの国でも、「あそこはヤバいから行くのはやめとけ!」という情報がメディアで取り上げられるのは、その状況がかなりどうしようもないほどのレベルで深刻になってからではないでしょうか。相撲部屋の力士暴行死亡事件しかり。東大卒のエリート新入社員の過労&パワハラ自殺しかり。数年前に僕がワーホリをやっていたオーストラリアでも、「奴隷農場」の問題が存在していたというニュースが全豪に衝撃を与えました。こういうのって、死人や逮捕者が出るぐらいの末期症状レベルになってようやくメディアに出てくるもんです。珍しいからニュースになるんですもんね。

それよりも手前のレベルのものって、大抵の場合は内々に処理されてしまうので、内部事情を知る人から直接聞かないとなかなかわからないです。だから早いうちから「生の声」をいろいろ収集しておくのは参考になると思いますね。

【OB訪問の利点3:コネができる】

OB訪問の3つ目の利点はコネができるという事です。日本だと「コネ」というとなんかインチキしてるみたいなイメージがあるかもしれませんが、英語圏や北欧ではコネを作っておくのは普通です。

実際、以前の記事

に出てきたシンセツヤネンさん(仮名)も、コネが就職のきっかけとなっています。

別に「親の七光り」レベルで強力なコネを作る必要はないです。

「雇ってみたら実は無能だった」

っていうのは流石に印象悪いですから。

ここでいう「コネ」は、賄賂とかみたいな

「えこひいきしてもらうためのもの」

ではなく、

「インターネットで検索するだけでは出てこないような情報を提供してくれる人とつながりを持っておく」

ぐらいに考えた方がしっくりくるかなと思います。

実際、条件のいい仕事ってネット上の求人じゃなくて、こういう水面下のネットワークでのみ情報共有されて、その人たちの間だけでしか出回らない事もよくあるらしいですからね。僕がオーストラリアでワーキングホリデーをやっていた時も、同じワーキングホステル(安宿兼ハローワークみたいなトコ)に住んでたデンマーク人が

「俺、時給40ドルの仕事ゲットしたぞ\(^o^)/」

とか言ってました。で、

「何ぃー???一体どうやってそんな高時給の仕事ゲットしたんだ?」

とみんなに聞かれて、

「たまたまバーで知り合ったおじさんと仲良くなってさ、『仕事探してるんなら紹介するよ』って仕事もらえたんだよ」

とあっけらかんと答えてました。これもグーグル検索ではまず見つからない仕事ですね。

【まとめ】

さて、ここまでOB訪問の事をいろいろ書いてきましたが、肝となる部分を一言でいうと、

「ネット検索だけでは見つからない情報にも手を伸ばせ」

です。

たしかに最近はインターネットの発達によって、大抵のことはググればわかるようになりました。そして自分でググって調べるというのは今の時代に賢く生きるためには必須のスキルと言っても過言ではないと思います。

ですがその一方で、

「インターネットだけでは調べきれない情報も山ほどある」

というのも否定できない事実でしょう。

これからの時代は、オンラインとオフライン両方で有益な情報を手に入れる事が、有利なポジションを確保する上で大事になってくると思います。