Page 71:マイナー言語を通して見え始めたマジョリティの横柄さ

僕は日本語や英語だけでなく一応スウェーデン語やフィンランド語も話しますが、これら北欧言語を使うと、英語を喋っているだけではなかなかできない経験を得られます。それは北欧の人たちに

「すごく興味を持ってもらえる」
「すごく歓迎してもらえる」

という事です。

それ自体は嬉しい事なんですが、同時に僕は疑問も持ちました。

「英語の方が北欧言語よりもよっぽど得意なのに、なんで英語のネイティブ相手に英語で喋る時は北欧言語の時みたいに喜ばれないのだろう」

と。

僕はこの事に関して、次のような仮説を立てています。

「マジョリティ(多数派)の者は横柄になりやすい」

どういう事なのか、以下にもう少し詳しく説明してきますね。


【「マジョリティ→横柄」の構造】

基本的に今の世の中って多数派の意思で動く事が多いですよね。

「選挙に勝った」とか、
「〇〇の人気ランキング1位」とか、
「業界シェアナンバーワンの商品!」とか、

どれも根本にある概念としては

「より多くの人に支持されている方が良い」

という事です。

物事の評価や判断は多数派だから常に正しく、少数派だから常に間違っているとは限りませんが、少なくとも世間では

「支持者が多い」=「正しい」または「優秀」

と判断される事が普通です。

それはそれで大抵の場合は悪くないのかもしれません。マジョリティを占めているものが本当に正しかったり優秀なケースも多く存在しているからです。例えば日本製品は世界中で売れており、車にしても家電にしても、僕が現在住んでいるこんな小さなオーランド諸島でも売られています。

世界中の隅々に浸透する日本製品は、やはり「質がいい」と評価され、だから多くの人に支持されているのでしょう。

でもその一方で、多数派だからといってそれだけで正しいとか優秀だとかいう事にはならないケースもあります。それだけならまだしも、多数派だというだけで自分が優位に立っているみたいな勘違いをし、少数派に対する態度が横柄になるという人も少なからず存在すると思うのです。

以下に具体例をいくつか挙げます。

【英語と北欧言語】

冒頭でも少し書いたように、スウェーデン人やフィンランド人を前にスウェーデン語やフィンランド語を喋った時はすごくビックリしてくれたり喜んでもらえたという経験を僕は何度もしています。スウェーデンやフィンランド国内でももちろんありましたが、北欧人と僕のどちらにとっても異国の地であるオールトラリアで北欧人と出会った時はこの傾向はさらに顕著でした。

「何で何で?何でスウェーデン語/フィンランド語喋れるの??何でスウェーデン語/フィンランド語なんて興味持って勉強してくれてるの???」

とすごい興味津々に質問攻めにあったりもしました。

それに対して、英語のネイティブスピーカーたちは英語圏の外で出会っても、どれだけ上手に英語を話しても上記の北欧人のような反応はしてくれません。

英語のネイティブ全員がそうだと言うつもりはありませんが、

「地球上の人間全員が英語喋って当たり前だろ」

みたいな態度なヤツもけっこういます。

酷い奴だと、ノンネイティブの英語をバカにする輩までいます。僕がオーストラリアでセールスの仕事をしていた時、一緒に外回りをしていたオーストラリア人の先輩社員が、ポーランドから移住してきたおばあちゃんに向かってこんな事を言いました。

「オーストラリアに移住してきて20年以上も経つのに、そんなポーランド語訛りの英語しか喋れないのぉ?」

もっと酷い奴だと、自分の意志で非英語圏であるアジアとかに来ておきながら、現地人が英語を喋らない事に対して

「チッ。コイツら英語もロクに喋れねーのか」

と文句を垂れる。自分は現地語がロクにできない事を棚に上げて。

こういった人たちは、世界中の英語のノンネイティブがわざわざ英語を頑張って喋ってくれている事に対する感謝の気持ちがないのでしょう。だからこんな偉そうな事が言えるのです。

【野球と陸上】

僕は中学高校で陸上部だったのですが、高校時代に野球部から言われて印象に残っているのが

「陸上部ってさ、走ってばっかで何が楽しいの?」

です。

僕以外の陸上部員も同じ事を言われていましたし、僕のいた高校のみならず、ネットで検索しても日本各地でこのような事が言われていると指摘する記事が出てきました。

更には、他競技の事情をよく調べもせずに

「俺さ、陸上部より50m速いんだけどw」

とか勝ち誇る奴までおり、これが陸上系YouTuberの怒りを買う事にもなっています。

【動画】50m5秒台と言い張る野球部、サッカー部ちょっとこっち来い

実際には、この動画でも説明されているように、5秒台と言い張る野球部やサッカー部と陸上部では計測方法が全く違います。陸上の記録は電動計時という正確な計測方法を用いるのに対し、野球部やサッカー部のはストップウォッチをテキトーに手で押すだけの手動計時です。いくらでも誤差が出ます。動画では手動計時では電動計時より0.25秒は速くなると言われていますが、実際には0.4秒、下手すりゃ0.5秒サバ読まれる事もあり得ます。フライング気味のスタートで測り始めを遅らせ、ゴールラインと胴体が完全に重なるよりも早めに時計を止めれば、実際の走りが速くなってなくてもそれぐらいはタイム縮まるでしょう。

他にも、テレビ番組で年配の元野球選手がスノーボードハーフパイプの選手に対して、やはり

「こぉんなものの一体何が楽しいのかねぇ」

とボヤいた事もありました。

野球選手全員が横柄というわけではありませんが、

「俺たちはメジャースポーツなんだぜ」

という驕りがマイナースポーツの人と比べて生じやすいのではないでしょうか。

【「メジャーなキリスト教徒」とモルモン教徒】

続いては宗教関連です。僕自身もそうですが、日本人では特にどの宗教も信じていない人が多いのであまり身近に感じられないかもしれません。しかし、海外に行くと意外と宗教の話は出てくるんですね(ちなみに北欧は宗教色は非常に薄いので、日本人的にも馴染みやすいと思われます)。

さて、宗教の中での「メジャーな連中」は誰か?それはキリスト教徒たちですね。全世界で信者数は20億人を超えています。

このキリスト教の中にもいろいろと宗派があるのですが、その中でも特に規模が大きいのが

・カトリック系
・プロテスタント系

です。

で、このカトリックやプロテスタントの人たちの中にも他の宗派を見下しているみたいな人たちが一定数見受けられます。僕の受けた印象では、特に

モルモン教徒

がいろいろ悪口を言われている感じがあります。

モルモン教は、正式名称は

「末日聖徒イエスキリスト教会」
(英語名:The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints)

であり、1830年に立ち上げられたキリスト教系の比較的新しい宗教です。

で、プロテスタントとかカトリックとかの「メジャーなキリスト教徒」と話している時に、僕がふとモルモンの話を出すと、途端に態度を豹変させて

「あんな奴らはキリスト教徒ではない!」

とか怒り出す人がいます。もちろん全員がこうではないのですよ。でも、1人とか2人とかいうレベルではない。今まで「メジャーなキリスト教徒」には何人も会ってきましたが、「モルモン」と聞いた途端に不機嫌になる人はけっこうな数いらっしゃいました。

あのー、僕の理解と記憶が正しければの話ですが、キリスト教って

「博愛主義」

の人たちではありませんでしたっけ?

「隣人を愛しなさい」
「汝の敵を愛せよ」

というのもキリスト教の有名な教えではありませんか?

別にモルモン教徒たちがオウム真理教みたいに地下鉄にサリン撒き散らしたりとかテロ行為をしたわけでもないでしょうに。聖書の教えの内容の解釈の仕方が違った程度で

「あんな奴らはキリスト教徒ではない!」

となるとは、

「世界最大の宗教のくせに器ちっせぇーw」

と思ってしまいます。

むしろ歴史を見れば、カトリックとプロテスタントの方こそが戦争だとか殺し合いをやっている。口では「博愛主義」と言いながら実際には気に入らない者を殺しまくってきたわけですから、矛盾も甚だしいわけです。

さらに、「ちょっと待て、俺たちとモルモンを一緒にするな!」と言ってきたキリスト教徒の中には、モルモンに対してだけでなく僕に対しても失礼な態度の連中がチラホラ見られました。

ある日フードコートで勉強していたら、僕にいきなり2人組の男が近づいてきて、

「すみません、ちょっと5分だけお話いいですか?」

とか話しかけてきたんですね。んで開口一番

「イエス様は、あなたの罪のせいで亡くなられたのです。あなたは罪人なのです。」

とか言われました。

いや、それ2000年前の話でしょw
俺、イエスキリストが殺された時まだ生まれてないんだけど((( ゚Д゚)

いや、「神の前では人は等しく罪人だ」っていう話は一応知ってますよ。でもね、初対面の人に向かっていきなり「あなたは罪人だ」ってあまりにも失礼だとは思わんのかね?しかも、僕が向こうの「なぜ神を信じるべきなのか」の理論を彼らの満足のいくまで一通り喋らせて、その上で

「でもさ、ココとココおかしくね?矛盾してね?」

といろいろ突っついたら、しまいには2人のうちの1人が逆ギレしだして、泥仕合っぽくなって結局50分も喋ってたという。5分じゃなかったのかよ。

ちなみにモルモンも似たような「人は神の前では等しく罪人」みたいな考え方はあるみたいです。ただ、今まで何人ものモルモン教徒と喋った事がありますが、基本モルモンの人たちの方が明らかに低姿勢だったんですよ。僕がこれまでに会ったモルモン教徒たちは誰一人として他の宗派の人たちの悪口は一切言わなかったし。

この「メジャーなキリスト教徒」とモルモン教徒の違いもやっぱりマジョリティ側の「驕り」が原因ではないかなと。たぶんこういう横柄な態度をとる連中は、頭の中のどっかに

「俺たちの方がメジャーなんだから、俺たちの方が偉い」

みたいな発想があるんだと思います。

【マイナーな経験のススメ】

こういう事をいろいろ経験してきた僕が思うのは、

「人生において、何でもいいから最低1回はどっかでマイナーな経験をすべきだ」

というものです。

常に多数派側にしかいた事のない人間は、多数派にバカにされている少数派の苦しみがわからない。だから無神経な事を平気で言える。失礼だという自覚すらない。

最近日本でも、コンビニや飲食店などでバイトをしている外国人の日本語をバカにする一部の心ない日本人が問題視されています。これも、日本で日本語のネイティブとして生まれて当たり前のように日本語ペラペラ喋っている人は日本社会では圧倒的多数派ですから、異国の地で外国語だけで生活する、ましてや仕事をするというのがどんだけ大変なのかロクにわかっとらん、という事なのでしょう。こういう人に対して言ってやりたいのは、

お前、3か月ぐらいでいいからネパールで飲食店勤務してこい。当然ネパール語しか喋るな。

です。

周りの人と同じ事しかやっていないと、それが世の中の全てだと思い込んでしまいます。視野が狭くなる。それって、本人にとっても周りにとっても本当にもったいないと思うんですよ。

別に語学でなくてもいいです。マイナースポーツでも、マイナーなバンドのライブを見に行くでも、何か他のマイナーな趣味を見つけるでも、何でもいい。あなたもマイナーな世界に足を踏み入れてみませんか?いろいろ勉強になる事も多いし、なかなか面白い事になると思いますよ(^^)

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