北欧社会は寛容?でも調子に乗ると流石にブチ切れられるっぽいです

日本ではテレビ番組での紹介のされ方の影響か、北欧の教育や暮らしって聞くと、

「非常に自由で、とにかくのびのびと過ごせる」

というイメージではないでしょうか?

確かに間違いではないです。僕も現在北欧の大学に正規入学して2年目ですが、こちらはやはりピリピリした感じがなく、全体的にリラックスした雰囲気です。

例えば日本やアメリカの教育機関では、授業中にお腹の具合が悪くなったりして途中で抜けてトイレに行きたくなった時などにはまずは先生に報告して許可をもらってから教室を出なければならないのが一般的ですが、ここフィンランドでは先生が授業中に喋っている最中に何も言わずに教室を出ても問題ありません。

授業中に果物やクッキーなどを食べてもOKです。僕の近くでよくバナナを食べながらとかみかんの皮を剥きながら授業を受けている人も見ますし、僕は自作のクッキーを食べて糖分を補給しながら授業を受ける事が多いです。

こんなにもフリーダムな雰囲気だと、

「北欧の人って全然怒んないの?ていうか、一体何をやったら怒られるの?」

と疑問に思える人もいるかもしれません。

そこで、今回は

「これだけやると流石に北欧でもブチ切れられます(^^;)」

という事例を紹介しようと思います。


【IEKAのバッグを服にした子】

以前日本のテレビ番組の各国の校則を比較するコーナーで、フィンランドも紹介されていた事がありました。

この動画では9:30‐17:08までがフィンランド編となっています。

最初のうちは

「校則?特にないよ」

とか言われていたり、

「授業さえ受けていればやり方は自由」

という校長先生の言葉があったり、やはり自由なイメージがあります。

でも、16:14からはIKEAのバッグを服代わりにした子がおり、流石にこの子は怒られています。番組内でも、

「自主性を重んじるが自由すぎると怒られる」

と締めくくられています。

【Svensson, Svenssonのグスタブ】

続いてはスウェーデンでは非常に有名なコメディドラマ、『Svensson, Svensson』からです。

このドラマではスヴェンソン家のお父さんのグスタブが毎回メチャクチャな事をやって奥さんにブチ切れられるというのが定番の展開となっています。

日本のアニメでも似たような位置づけのキャラが結構いますよね。

『クレヨンしんちゃん』のしんのすけ(ブチ切れる役→しんちゃんのママ)
『こち亀』の両津勘吉(ブチ切れる役→大原部長)

などです。

例えば以下のエピソード。

この回ではSvensson家の息子、マックスのガールフレンドのエバがニューヨークに本部がある国連での仕事が決まります。任期は1年のみであるものの、マックスはエバと一緒にニューヨークに行くつもり。その一方で、スウェーデンの外には一度も出た事がなく、事情もよく聞かずに

「外国に出るだなんてとんでもない!自国が一番!」

というグスタブ。(←日本の頑固オヤジみたいですな。どこの国にもいるのね、こういう人。)

なんとかしてマックスにニューヨーク行きを諦めさせてスウェーデンに留まらせるために、グスタブはこんな手を使います。

(9:32~)
エバ(マックスの彼女):「国連から郵便が届いたの。マックス、読んで。」

マックス:「リンドストロム様、残念ながら彼氏をTa med(←スウェーデン語で「連れてくる事」)する事はできません。そして考えてごらんなさい。あなたは本当に美しい自国を離れる覚悟はできているのですか?」

国連からの手紙を装ってマックスの彼女エバ宛に「彼氏はニューヨークに連れてくるな」という内容の手紙を送るグスタブ。国連からの手紙という事で頑張って英語で書いたのに、なぜか「連れてくる」の部分だけはTa medと、スウェーデン語になってしまっていますw

すかさず

「こんな手紙を書く人間は地球上に1人しかいない」

と息子マックスに指摘されるグスタブ。

でもこの手紙、どういうわけか実際に国連のサーバー経由で送られてきたというのです。

(10:20~)
レナ(グスタブの奥さん):「あんた、これ(勝手に国連のサーバーに侵入して)、刑務所行きに相当する行為だって自覚あるの?」

グスタブ:「ああ、それなんだけど、俺じゃなくて実行犯は別にいて、そいつは既に刑務所に入ってるから大丈夫だ」(←何が大丈夫なんだよw)

他のエピソードでも、イタリアから来たゲストに対して数々の失礼な態度&おバカな醜態をさらしまくったグスタブに対して相当ご立腹な奥さん

(20:00~)

そして1分ほどマシンガントークで攻めまくった後、

(21:00‐21:03)

「あんた、ぶっ殺されたいの?」

とトドメの一撃。

【10年に一度しか怒らない人が…】

上記の『Svensson, Svensson』はドラマでありフィクションなので、多少は誇張された部分もあるかと思います。実際、本当に夫婦間で「ぶっ殺す」とかの発言をしたらそれは問題になると思います。たぶんDVとかのアレに引っかかるんではなかろうか。

では、現実では北欧の家族は怒ったりしないのかといえば、さにあらず。

例えば僕が受けている授業を受け持っている先生の中には子持ちのお母さんの人もいるのですが、彼女は「アンガーマネージメント」か何かの話をしていた時にこんな事を言っていました。

「独身の頃は10年に1回怒るかどうかっていうぐらいだったのに、子供が生まれたら毎日のように怒ってるわー、ハッハッハッハ!(^^)!」

【怒られるかどうかの境目は?】

さて、ここでちょっと考えてみましょう。北欧ではどんな時に怒られるのか?

コメディドラマのグスタブの例は

「ブチ切れられん方がおかしいやろw」

というほどのレベルですが、IKEAのバッグの子や子供の躾に関しては、怒る事に関して

「普段はあんなにフリーダムなのに、なぜこの時だけ?」

と疑問に思う方もいるかもしれません。

恐らくここで基準になっているのは、

「周りに迷惑がかかっているかどうか」

なのでしょう。

IKEAのバッグの子に関して、フィンランド人の友達に聞いてみたら、あれがダメな理由は

「この場合は他の子の勉強の邪魔になるから」

だそうです。

遡って、このブログ記事の最初の方では授業中に飲み食いしたりするのは(散らかしたりせず静かに食べている分には)OKと紹介しました。飲食や勝手に教室を出てトイレに行くのがOKなのは、それ自体が他の生徒の邪魔をする内容ではない、つまり他人に迷惑をかけるものではないとみなされているからなのです。

そういえば、TEFL(Teaching English as a Foreign Language)という英語教授法の勉強をしてた時は、当時僕の受けてた授業の1つを担当してたアメリカ人の先生は最初の授業の注意事項の時に

「僕の授業では飲食は基本OKだが、ポテチは音がするからできれば控えてもらいたい」

とか言ってました。

でもこの先生、なんだかんだでそこから続けて

「ポテチなんか食べてたら、隣の人が羨ましがるじゃないか。僕の授業でポテチを独り占めにするなんて許さない!どうしてもポテチを食いたかったら、みんなでシェアできるようにデカい袋のヤツを持ってこい!」

とか締めくくってて、実際にデカい袋のポテチとかポップコーンが授業中に回ってきていたので、僕もおいしくいただいていましたw

話は戻って、子供が怒られるのも、例えば

「物理的に危険な遊び」
「いじめになりかねない行為」

など、早いうちに直しておかないと子供本人や他の子どもに危害を及ぼす事があるものがメインの内容のようです。

異文化の中に入った時、「どんな事をしたら怒られるのか?」というのは結構気になる所ですよね。でも、「怒られない事・やっていい許容範囲内の事」というのは意外と世界共通で、常識を守って過ごしていれば大半は問題ないのだと思います。やっていいのか悪いのか確かでない場合は聞いて確認すればいいだけの事ですしね。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。