Page 66:北欧の大学入学願書における意外なNGワードとは?

僕はこのブログを書いている2019年2月現在、フィンランドのスウェーデン語圏であるオーランド諸島の大学で留学しています。この留学生活を始めるにあたって必要な事は一通り自分でやってきたのですが、所々で誰かの助けを借りた事はあります。

例えば大学への願書の提出です。オーランド大学のHPから申し込み書をダウンロードして必要事項を記入したのですが、ふと気になった事がありました。僕のこれまでの経歴や個人情報を書き込む欄以外に、僕の「大学生活に向けての意気込み」を書く欄があったからです。ここで僕は思いました。

「自分で考えた文を書いたけど、これって北欧的にウケがいい文面なのかな?一応自分は北欧の文化とかものの考え方をよく理解したつもりではいるけど、やっぱり生まれも育ちも日本だし、どこからで『日本的なバイアス』がかかっているかもしれない。一度北欧の人に聞いてみよう」

そこで僕の入学願書の文面のチェックをお願いしたのが、スウェーデン人のMartin先生。

彼は僕が以前記事で紹介したitalkiというオンライン語学サイトでスウェーデン語の先生をしている人です。僕は当時も普段はスウェーデン語の勉強は独学でやっていたのですが、この時は彼のレッスンを受ける事にしたのでした。スウェーデン語を伸ばすためというより、スウェーデン語の先生をやっているスウェーデン人の目から見て僕の願書の文面がどう映るのかのフィードバックが欲しかったですし、他にもスウェーデン語力証明のためのテストも間近に控えていてテスト用のスピーキングの話し相手がこの時ばかりは欲しかったからです。

ちなみにこのMartin先生、プロフィールビデオではかなり初心者向けな易しいスウェーデン語を喋ってくれていますが、もちろん上級者との会話にもバッチリ対応してますので、初心者から上級者まで幅広くレッスンを受けられます。先生のitalki上のプロフィールページはコチラ

願書を見せると、Martin先生は

「うん、全体的にキレイなスウェーデン語でよく書けていると思う^^」

とポジティブなコメントをくれたのですが、1か所だけ鋭くダメ出しが入った部分がありました。それは僕が「意気込み」の欄の最後の部分に書いた

「もしこの大学で学ぶ機会をいただけたら、一生懸命勉強して、卒業後は北欧社会に貢献できる人間となれるよう頑張ります!」

という一文だったのです。

みなさん、これの一体何がイケなかったのだと思いますか?

それはですね………

「社会に貢献できる人間」

という部分です。

日本ではむしろこれが好印象というか、書いて当たり前レベルの一言だと思われますが、北欧でこういうセリフを言うと、人によっては

「お国のために、我が身を捧げて!!!」

みたいな、ナショナリストというか愛国者というか、なんか「ヤバい奴」みたいなイメージを持つ人もいる可能性もあるのだそうです。

北欧では個人の自由が最大限に尊重されます。国のために個人があるのではなく、一人一人を幸せにするために国がある。「愛国心」とかみたいな事を口にするのはもちろん、それをほんのちょっとでもほのめかす可能性のある発言にも敏感なのだとか。

ちなみに、フィンランド本土のトゥルクで会ったフィンランド人の友達に同じ事を聞いても、

「うん、『社会のために貢献します』は確かに少なくともグレーゾーンには入ってそうなセリフかもね。僕もそういう文言は避けるようにしてる」

と言われました。

では代わりに何と言うべきだったのか?Martin先生はこう教えてくれたのでした。

「『社会のために貢献します』ではなく、『向上心を持ち続けて勉強します』とか、『野心を持って勉強します』の方がいい」

さらにMartin先生はこう続けます。

「君は北欧に留学しようとしているわけだけど、北欧社会に奉仕するために勉強しに来るんじゃない。この北欧留学は君自身がやりたいからやるのであり、人生をより豊かにするためのものなんだ。」

先生から思わぬ形でいただいた、大学願書の文面へのダメ出し。でもそれは、夢と希望に満ち、僕の北欧で勉強したいという気持ちをより一層強固なものにしてくれた、とても嬉しいダメ出しだったのでした。

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