Page 34:語学を独学でできる人とできない人の違い

僕は現在フィンランドのスウェーデン語圏であるオーランド諸島で大学生活を送っています。北欧の大学では現地語を喋れなくても英語で授業を受けられるケースが多いのですが、僕の場合は現地語のスウェーデン語で授業を受けていますし、日常会話もスウェーデン語で行っています。今となっては、英語よりもスウェーデン語を使う機会の方が圧倒的に多いです。

僕は日本生まれの日本育ちですし、インターナショナルスクールに通っていたわけでもありません。大学に入る前まではスウェーデン語どころか英語も喋れませんでした。それでも一応こちらの大学に入るための条件の1つであるスウェーデン語力のテストには合格しましたし、こちらで知り合った人たちと喋っていると、

「もうオーランドに住んで長いの?」
「オーランドに来る前は何年ぐらいスウェーデンに住んでたの?」

などと、僕が既にスウェーデン語圏に何年も住んでいるものだという前提で話を進められてしまう事がけっこうあります。

それもそのはず。こちらに移り住んできている外国人はまず語学学校に通い、現地でスウェーデン語環境にどっぷりと浸かり、それからスウェーデン語が喋れるようになるケースがほとんどだからです。

でも僕の場合、日本を出たのが去年の8月の中頃なので、このブログ記事を書いている時点でもこちらに来てまだ半年ほどです。こちらで語学学校には一切通っておらず、去年の8月の下旬、つまり現地入りの1週間後には現地のスウェーデン語ネイティブの学生たちと同じようにスウェーデン語で授業を受け始めました。日本にいた時もスウェーデン語学校には通っていません。

「じゃあどうやってスウェーデン語を覚えたの?」

と、よく聞かれるのですが、それは独学です。こちらに来る前までに4年間ぐらい自分で勉強して、いきなりこっちで100%スウェーデン語の環境に飛び込んでも大丈夫なようにしておきました。

そして次によく聞かれるのが

「どうやったら独学でスウェーデン語なんて勉強できるの?」

という質問です。

たしかに疑問に思われるのも当然かもしれません。英語でも独学で挫折する人は多いですし、

「留学してもいないのに4か国語ペラペラになった!」

というような人のブログとかを読んでみても、その内訳は

・中国語
・フランス語
・スペイン語

などのいわゆる「メジャー言語」ばかりです。

このようなメジャー言語は、ちょっとお金を余分にかければ単語帳やイディオムブックや電子辞書、その他必要な教材だって手に入りますし、実質的には英語を独学で勉強するのと大きく変わりません。

一方で、僕はスウェーデン語学習にお金を使ったのは最初の入門書ぐらいで、その教科書をやり込んで初心者レベルを脱出した後は基本的にネットで「スウェーデン語の教材として使えそうなもの」を無料で拾いまくって勉強したので、事実上ほぼ無料に等しいレベルの費用でスウェーデン語を覚えた事になります。

あと、フィンランド語も勉強してます。フィンランド語の現時点での習得度は、今まで日本で留学の資金稼ぎの仕事をしながらその片手間に余った時間でスウェーデン語を勉強し、さらにそこから余った時間をちょびっと使って勉強してた程度(しかもスウェーデン語が4年ぐらいなのに対しフィンランド語は1年半ぐらいしかやっていない)なのでまだフィンランド語だけで24時間過ごすのはちょっとキツイですが、それでも普通の日本人の英語よりはよっぽど喋れます。

なので、僕の独学勉強法は英語やそれに準ずる「メジャー言語の独学」とは一線を画すものであり、その気になれば他のほぼどんな言語の勉強にも応用可能だと考えています。リソースの少ないマイナー言語が独学でできるのであれば、リソースが豊富なメジャー言語に応用が効かない道理はないからです。

で、問題は「どうやって」マイナー言語を独学で覚えたかなのですが、それを理解するためには、まず

「独学と人に教えてもらう事の違い」
「独学に必要な要素」

を理解する必要があると思います。

 

≪コンテンツ≫
・そもそも何故「誰かに教えてもらう」必要があるのか?
・学習成功の鍵その1:モチベーションの維持
・学習成功の鍵その2:自分の現在のレベルの把握
・学習成功の鍵その3:課題・教材選び
・学習成功の鍵その4:教材や補助ツールへのアクセス
・まとめ

 

【そもそも何故「誰かに教えてもらう」必要があるのか?】

まず「何かを学習する」というプロセスは、

「誰かに教えてもらう」
「独学で学ぶ」

の2通りしかありませんが、ポピュラーなのは前者であると言ってよいと思われます。

それは「独学で学ぶ」よりも「誰かに教えてもらう」方が知識や技術が身に付きやすい(と少なくとも世間一般には認識されている)からなのですが、どうしてそうなるのか?

それは、学習成功のためにはいくつか必要な要素があり、それらを満たすために誰かの助けが必要な場合が多いからでしょう。

以下にその必要な要素として考えられるものを1つずつ見ていきます。

 

【学習成功の鍵その1:モチベーションの維持】

モチベーションは学習活動においてエネルギーの源です。いかに効果的な学習カリキュラムがあろうとも、そのための学習時間が十分に確保され、実際に実行されなければ意味がありません。

でも人は怠けたい生き物。よっぽど心の底から好きでない限り、勉強しなくていいのであればしないでおきたい。そんな時に「でもやっぱり頑張らなきゃ」という気持ちにさせてくれるのが先生であったり、同じ事を勉強している仲間だったりする場合が多いのです。

 

【学習成功の鍵その2:自分の現在のレベルの把握】

学習をするにしても、ただ量をこなせばいいわけではなく、やみくもにやっても力はつきません。同じ学習時間でも、その学習効果を最大化するには今の自分に合った勉強をする必要があります。

そして、何が今の自分に合った勉強法なのかを知るためには、まず自分の現在のレベルを把握しなければなりません。自分が今のレベルでまだできない事は何か?逆に今のままでも既にできる事は何か?これを見極めてこそ、次に何をすべきかがわかるのです。

そして多くの場合、自分の強い部分や弱い部分を見るには客観的な視点が必要になります。そのため、第3者の目で自分を見てくれる「先生」という存在は自分の現在地を知らせてくれる存在になりうるのです。

 

【学習成功の鍵その3:課題・教材選び】

今の自分に何ができて、何が足りないのかを把握したら、次は自分の今のレベルに応じた課題をこなす必要があります。ここで重要なのは、あくまでも「今の自分のレベルに応じた」課題であるという事。簡単すぎては新しく得るものは特にないし、難しすぎてもその高すぎるレベルに対応できず、結局学習内容が身に付きません。

どのレベルの学習者にどんな課題を出せばいいか?そしてどんな教材を使えば今必要な課題に取り組むことができるのか?それは過去に大勢の生徒を指導し、力をつけさせてきた優秀な指導者であれば比較的容易に見極められるでしょう。

 

【学習成功の鍵その4:教材や補助ツールへのアクセス】

自分の現在の位置を確認し、どんな教材を使ってどんな課題に取り組めばいいのかがわかったら、当然実際にその課題に取り組まねばなりません。ここで問題なのは、自分が今「こういう課題ができるこういう教材が必要」という時に、実際にその課題が手に入るのか?という事です。

そして場合によっては、「この教材はこの場所でしか手に入らない」という情報を持っているのは先生だけかもしれません。

 

【まとめ】

語学に限らず、一般的に独学よりも誰かに教えてもらった方が上達しやすいと言われるのは、その方が

[1] モチベーションを維持しやすく、
[2] 自分の現在のレベルが客観的にわかりやすく、
[3] 今の自分に必要な課題を与えてもらえ、
[4] かつその課題に取り組みやすい環境が整っている

場合が多い(と少なくとも考えられている)からでしょう。

逆に言えば、これら上記の4つの点をクリアできるのであれば、別に人に教えてもらわなくても独学でもよいという事になりますし、実際独学ができる人というのは上記4つが人に頼らなくても自分でできている事が多いです。

もっと言ってしまえば、何らかの教室に通っていたとしても、そこが

「自分に合ったレベルの課題を与えてくれない」
「モチベーションが湧いてこない」

ような場所であれば、わざわざ時間や金を費やしてそんな所に行く意味はあまりないような気もします。

「すぐに答えを教えてしまっては意味がない。自分で考える事が大事なのだ」と言われたりする事がありますが、そのような方法が意味をなすのはあくまで生徒のレベルをきちんと考慮した上で、それに応じた適切な課題を与えていればこその話です。

生徒の現状に合わないような課題を与えておきながら適切な補助も与えず、「先生に頼ってばかりじゃなくて自分で考えてなんとかしてみろ」などという先生がいたとしたら、それは

「生徒に考えさせている」

のではなく、

「先生としての責任(わかるように説明する事、適切な補助を施す事)を放棄している」

のであり、一言で言えばそれは

「単なるムチャぶり」

なのです。

このような先生は質問をした所で丁寧に教えるという事をしないですから、学習内容がわからない子はいつまでたってもわからないままです。逆に、「教えられなくたって自分で考えてなんとかしろ」と突き放すだけで力がつくのであれば、その子はそもそもそんな先生の下につく必要はなく独学でできるという事です。つまり、どちらにせよこのような先生の下で学習する事にはあまり意味がないです。

現時点で最大で50kgのバーベルまでしか持ち上げられない子に、いきなり100kgを挙げろと言ってもできるわけがありません。最終的な目標が100kgだったのだとしても、今の力が50kgなのであれば、次に目指すべきは52.5kgや55kgであり、それを根気よく積み重ね続けて少しずつレベルを上げていき、最終的に90kg、92.5kg、95kg…ぐらいのレベルまできたら、その上で100kgを目指すべきなのです。

にもかかわらず、巷には(勉強、スポーツを問わず)

「50kgしか挙げられない子」にも、
「70kgまでなら挙げられる子」にも、
「現時点の自己ベストが95kgで100kgまであと少しの子」にも、
「既に150kg挙げられる子」にも、

個人差を無視して一律に「100kgのバーベルを挙げろ」という課題を与えるような指導者がけっこうな数います。

この場合、この「100kgのバーベルを挙げろ」という課題が意味をなすのはおそらく現在95kgを挙げられる子のみであり、それ以外の子にとっては負荷が重すぎたり軽すぎたりして課題としての意味をなさないでしょう。

優秀な指導者というのは、自己ベストが50kgの子には52.5kgや55kgが挙げられるようになるためのトレーニングをさせ、75kgの子には77.5kgや80kgが挙げられるようになるためのトレーニングをさせるものです。個々の現在の状況によって指導内容は変えるものであり、個人差を無視してとりあえず全員に「100kgを挙げろ」と命令するというようないい加減な事はしてはなりません。

独学にしても人から習うのにしても、

「自分の現在の位置を知り、それよりも少しだけ上のレベルに行くための努力をする」

という作業をコツコツと積み重ねるのが長い目でみたら上達の一番の近道です。

独学で何かを学ぶのであれば、自分でそれができているのか定期的にチェックすべきでしょうし、何らかの教室に通っているのならば、もし指導者が「一律に100kgを挙げさせ」、しかも「50kgまでしか挙げられない子にロクに補助も施さない」ような指導法を用いていたら、そのような教室には見切りをつけて他をあたった方がいいかもしれません。

 

※※僕の語学独学勉強法についてもっと知りたいという人は、コチラもご覧になってみてください※※

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。