Page 28:ストックホルム中央駅で逆ナン?いえ、セールスに遭いました

フィンランド、オーランド大学での授業は12月末でいったん一区切り。来年1月の2週目までの3週間弱が冬休みとなります。

時間に余裕ができたので、12月21~23日にちょいとお隣スウェーデンのストックホルムに行ってきました。今回の目的は以下の2つでした。

[1] 冬物の上着や靴などの買い物
[2] スウェーデンで友達に会う事

冬物は別にオーランド諸島でも買えますが、特に冬物セールの時期ならストックホルムに行くまでのフェリー代を入れてもこちらの方が安く買えると聞いていましたし、なんならこの際に友達何人かにも会えそうかな~という事で、ストックホルム行きを決めたのでした。

本来の目的である買い物と友達とのランチ・お茶会はどれも滞りなく進みましたが、ストックホルム滞在中に上記のメイン目的とは違う部分でいろいろとネタができたので、今回はそちらに焦点を当てて記事を書こうと思います。

 

【待ち合わせ場所、Ringen】

21日、22日、23日のそれぞれで友達と会う約束をしていたのですが、いずれも待ち合わせ場所はストックホルム中央駅のRingenと呼ばれる場所でした。

写真のように、この場所には床にリング状の空洞があるために、スウェーデン語で”the ring”を意味するRingenと呼ばれているのだそうです。

 

【若くて可愛い女の子の正体】

友達との待ち合わせであるRingenに早めについた僕は、柱の近くで立っていました。暇つぶしにスマホをいじっていると、急に誰かがスウェーデン語で声をかけてきました。あれ?おかしいな。ストックホルム滞在の3日間のうち、初日であるこの日だけは、会う予定の友達は日本人のはずなのに、なぜスウェーデン語で声をかけられるのだろう。

ふと顔を上げてみると、目の前に立っていたのは若くて可愛らしい女の子。軽く挨拶をされ、いつの間にか会話が始まる。

最初の会話で何を喋っていたのかはもはや覚えていないのですが、少しすると会話の内容が「女性の基本的人権について」的な、社会問題系の話題になりました。これは、もしかして…?

 

 

 

 

逆ナン???? キタ――(゚∀゚)――!!
→んなワケあるか。逆ナンで「女性の人権」を主張する子がどこにいるというのだ。

 

それはさておき、ここで僕は目の前の女の子の姿や、僕が置かれていた状況を頭の中で列挙してみました。

・駅という公共の場所
・何かしらの組織のユニフォーム(ベスト)を着ている
・社会問題系の重い話題

 

そして何より、
・iPadを持っている

 

こ、これは…!!間違いない!

 

 

 

これはセールスだ!

 

【セールス業界でのiPadの使い方】

なぜiPadでセールスだと思ったのか?それは僕自身が以前に同じ手法でセールスマンとして売る側の人間だった事があったからです。

僕は以前オーストラリアでワーキングホリデーをしていた事があり、そこで最初にありついた仕事がセールスでした。(当時は仕事を選り好みしている余裕はなく、とにかく最初に採用が決まった仕事に飛びつきました)(とはいってもセールス業界ではトータルで5週間しか働いてなくて、その後は別の業界で働いたけど)

僕が所属していたセールスチームで売り込んでいたのは「チャイルドスポンサー」といって、発展途上国の(特に子供の)支援のための資金援助のためのスポンサー契約を結んでくれるように、話しかけた人を口説き落とすというものです。

そこで使うのがiPad。

「発展途上国には、出生届も発行されず、悪い奴らに誘拐されてそのまま奴隷のようにこき使われても(書類上は存在しない子だから)追跡しようのない子供がたくさんいるんだ」
「インフラも整っていないし、僕らが当たり前のように受けてきた教育や医療サービスだって受けられない」

みたいな話で相手の同情を誘い、

「こういう子たちって、何とかして助けてあげるべきだと思うよね?放っておくのはひどいよね?」

といって相手にYesと言わせ、

「よかった!君みたいな暖かい心の持ち主に会えて嬉しいよ!ところで、君の名前は?」

という具合に誘導し、相手が名前を言ったらすかさずそれをiPadに入力する、という手順なのです。

その後も

「ところで君の誕生日は?」
「どこに住んでるの?」

といった具合に次々と情報を聞き出し、相手が最後まで抵抗せずにiPad上の記入が進むと、

「このiPadの署名画面にサインしてくれれば、晴れて君も支援グループの一員だ!」

とサインをさせて登録いっちょあがりとなり、毎月その人のクレジットカード経由で発展途上国支援団体への資金が引き落とされるようになるのです。

 

そして、僕が今いるストックホルム中央駅で目の前にいるスウェーデン人の女の子も、同じように

「特にアフリカや中東出身の女性はね、自国で教育を受けさせてもらえなかった人が多くて、特に女性の権利について知らない人が多いの」
「女性も男性と同等の基本的人権を持つって概念がないから、例えば夫からDVの被害を受けてても、『女は教育なんか受けなくていいから家でおとなしくしてろ』とか言われても、『それは仕方のない事』だと思い込んでしまうの」

と切り出し、

「だから私たちの活動は、こういう女性たちを助けてあげる事なの!彼女たちにだって同じ人間としての権利がある!あなただって人権は誰にでも等しく与えられるべきだと思うでしょ?」

といって僕にYesと言わせ、

「よかった!あなたみたいな心優しい人がいてくれて!ところであなた、なんて名前なの?」

と聞いてきました。

僕が「シンイチだよ」と答えると、女の子は

「シ、シン……?何?ちょっとスペルがわかんないわ。私の代わりに、自分でここに名前を入力してくれないかしら?」

とiPad上での名前の入力を求めるのでした。

 

……………………。。。。

 

同じだ!
ほとんど同じだ!!
俺がやってたオーストラリア、メルボルンでのセールスの手法と!!!
見事なまでに!!!!

 

【セールス業界の裏側】

今僕の目の前に表示されているのは名前と生年月日を入力するだけの画面ですが、もしこのまま次のページ、そのまた次のページと全部記入すると、間違いなくカードの番号も登録され、毎月の引き落としが始まってしまいます。さてどうしたものか。

一応僕は過去に3つの慈善団体

・ドイツ国際平和村
・ユニセフ
・あしなが育英会

に寄付をし続けていた時期が3年間ぐらいあったし、苦しんでいる人の力になれるならなりたいという気持ちはありました。しかし、一度チャリティを売り込む側を経験してしまった僕は、この状況で即決で登録という気にはちょっとなれないのでした。

というのも、僕がオーストラリア時代に初めて仕事をゲットしたあのメルボルンのセールス会社では、社員たちがけっこう顧客の事をバカにしていたからです^^;

当時あの会社でセールス研修を担当していたボスはまるでストⅡのザンギエフ(↓想像図)のような男で、松岡修造など生温いと感じてしまうほどに激アツでアゲアゲなテンションの人でした。

ザンギエフ:「よいかお前たち!自信を持て!この仕事はイージーだ!ただたくさんの人と喋り、そのうちの何人かと契約が結べればいいだけの事。単純な話だ。しかも!メルボルンの住人はバカばっかりだ!だから口説き落とすのはそんなに難しい事ではないだろう!Agree?

洗脳されし従業員たち:「イェーーー!!!」

ザンギエフ:「オーライ、ファンタスティック!いいぞ、その意気だ!」

、とまあこんな感じで研修が進んでいましたし、

他にも僕の所属していたチームのボスは20歳ぐらいの女の子だったのですが、その子もメチャクチャ気の強い子で、チームほぼ全員が契約をほとんどとれなかった日はなかなかお怒りのご様子でした。そして「その日の総括」で、

「今日はどうしちゃったのあんたたち!お金稼ぐ気ないの?何でもっと強気にいかないの!あんな奴らとにかく押せば売れるんだから!あいつらはこっちのセールストークの内容なんかロクに聞いちゃいないのよ!所詮あいつらは単細胞の『ピーーーー』(←放送禁止用語)なのよ!!!!

とか言いたい放題でした。

このように一部とはいえセールス会社の従業員が「あんな事やこんな事」を言っていたので、僕の目の前にいるスウェーデン人の女の子だって、もしかしたら裏では僕の事を「単細胞の『ピーーーー』(←放送禁止用語)」とか言っている可能性もなくはないかもと思ってしまったのです^^;

英語圏の国ではチャリティを装った詐欺のケースもたまに聞いたし、スウェーデンでも絶対にないとは言い切れないし、とりあえずこの場で登録するのは断っておきたい。もし本当に必要なら、リサーチをした後でその組織ホームページ経由でも献金できるはずですからね~。

 

【セールスの断り方】

とはいえ僕も元セールスマンのはしくれ。どうしたら角が立たないようにセールスを断る事ができるのかも心得ております。

やり方の1つとしては、「協力したい気持ちはあるんだけど、〇〇がねぇ~」と言い、〇〇の部分に「システム上解決できない難題」を持ってくればいいのです。

例えば今回の僕のケースでは非常に簡単でした。名前や生年月日を入力するページに、スウェーデンの個人番号(日本でいうマイナンバーのようなもの)を入力する欄があったので、「日本から来たし、スウェーデンには住んでなくて旅行で数日滞在するだけだから個人番号は持ってない」と言っておきました。そもそもこのケースでは、仮に僕が「登録したいです」と言ったとしてもどの道最終的にはできないようになっていたのです。

僕のオーストラリアでの経験上からいうと、こういうチャリティ系のセールスは基本的に自国民や永住者を対象にしており、長期的にクレジットカードからお金を引き落とし続ける事を前提としています。なので、「支払える立場ではない」事を示してやればこういう人たちは即引き下がります。(オーストラリアでミスりかけた事もあったけど)
案の定、このスウェーデンの女の子も一発で引き下がりました。

まぁ別にこんな回りくどい事しなくても、ひたすらNoと言ってももちろん引き下がらせられるし、ひたすら「アワワワ……((( ゚Д゚)))……」と言い続けてスウェーデン語も英語もわかりませんとアピールするのも、相手がなんと言おうと断固としてひたすら黙り込むのも、そのまま立ち去るのもありです。

要は個人情報を入力したりサインするという行為を行わなければいいわけですから。それさえしなければ、たとえトークでどれだけ相手に押されていても「合意があった」とはみなされず、契約には至らないのです。

 

 

さて下の写真は僕との契約を諦めた後、他の通行人に話しかける女の子(一応遠めからのパシャリ)。はたしてこの人は契約するのでしょうか…?

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