フィンランド・オーランド大学の時間割

今このブログ記事を書いている時点では既に慣れていますが、新学期が始まってガイダンスがあった直後はこの大学の時間割の仕組みがよくわかりませんでした。


毎週変わるフィンランドの時間割

それもそのはず。こちらでは時間割というものは毎週変わるものなのです。スウェーデンの友達やフィンランド本土で現在高校に通っている友達に聞いてみても時間割が毎週変わるのは普通の事らしく、どうやらこのオーランド大学だけに限った話ではないようです。

時間割が毎週変わるとはどういう事か?ちょっと実際に例を出して見てみましょう。大学のホームページから、僕の通っている学部の今学期の最初の4週間の時間割をスクリーンショットしてみました。

まずは第1週目。月曜日は午前10時から始まり、16時過ぎまでガイダンスで埋まっているのがわかります。火曜日と金曜日は午前のみ、逆に水曜日は午後のみです。

第2週目。木曜までは午前と午後両方に授業が入っていますが、金曜日は午前のみになっています。

第3週目。木曜まではけっこうぎっしりだけど、金曜は丸々オフ。

第4週目。午後だけの日だったり、午前だけの日だったり。

と、こんな感じです。

何でこんな時間割になっているのかというと、こちらでは授業によって必要なレクチャーの数が違うのと、授業のために予約する教室の時間が他の授業と重ならないように調節する必要があるからです。学期の途中で数週間で終わってしまう授業もあれば3か月以上続いてほぼ1学期フルに使ってやる授業もあります。

例えば以前の記事で少し書いたStudieteknikという授業も数週間で終わってしまいましたが、しばらくするとこの授業を教えていたのと同じ先生による英語の授業が新しく始まりました。他にも新しい授業が始まっては終わり、また新しい授業が始まる、という流れになります。

また、2週目からはプログラミング言語の授業が始まり、この授業は数週間では終わらず今学期の終わりまでずっと続くのですが、教室の予約状況の関係で授業のある時間帯は午前だったり午後だったりとマチマチです。


フィンランドの大学では休みはしっかり取らせてもらえる

また、学期の途中でも月曜から金曜まで授業が全く入っていない週もあり、土日と前の週の金曜日の休みも合わせると10連休にもなったりします。ちなみに冬休みは冬休みで3週間ほどあり、夏休みはたしか2か月以上だったかな。

金曜が丸ごとオフになったり、1週間丸ごとオフになったり。そういえばある日、初日のガイダンスに出席していた、下級生のチューターを務めている先輩と帰り道が一緒になったので道中いろいろ喋ったのですが、そこで彼がこんな事を言っていました。

「たしかに僕たちフィンランド人はよく勉強するし、よく働く。だけど勉強しっぱなしや働きっぱなしじゃストレスが溜まっちゃうだろう。休みだって必要なんだ!

たしかにその通りですよな~。人間やっぱり休みも必要。しかもこれで世界トップクラスの学力や国際競争力を得ているのだから、フィンランドから学ぶ事はやはり多いと思いますし、きちんと休みを取りながらで結果を出せないようであれば、それはやはり勉強の仕方や仕事の仕方、スケジュールの組み方に無理がある証拠なのだと思うのです。


フィンランドの大学の3時間半授業の背景

さて時間割の話に戻りますが、ところでみなさん、時間割を見ていて気付きましたでしょうか?1コマ3時間半というやたらと長い授業が多い事に。

これはもちろん3時間半休憩なしのぶっ続けでやるという事ではありません。大体50~60分ぐらいで5~10分の休憩が入ります。ただ、チャイムとかはないので、その時の先生の裁量だったり、生徒から「そろそろ休憩の時間じゃないですか?」と促されて休憩に入ったりします。

時間帯によっては20分ぐらいの休憩になる事もあります。この長めの休憩はスウェーデン語ではkaffé paus(カッフェパウス)と呼ばれており、「コーヒーのための休憩」と位置付けられているようです。さすが国民1人当たりの年間コーヒー消費量が世界一のフィンランド。いつでもどこでもコーヒーの時間は確保したいのですね。

この3時間半の授業にはもう1つ特徴があります。それは多くの場合実際に講義を行うのは最初の1時間半から2時間ほどであり、残りの時間は課題に取り組む時間に充てられる、という事です。

課題はこの時間内に終わらなければ家に持ち帰って締め切りまでに提出する宿題という形になりますが、時間内に終わらせてその場で提出してしまえば、その日の宿題は無しという事になります。

課題の時間の最中はいつでも先生に質問して、必要な補助を受けながら取り組むことができますが、特に先生の補助もいらないし家でやりたいという生徒は、課題の時間になった途端に家に帰る、というのも有りです。なので昼の12時半から16時すぎまでの授業といっても、14時半や15時台にはもう帰ってしまう生徒もいれば最後までいる生徒もいます。

みっちり勉強はさせるけれど、休憩時間も十分に確保。また、生徒が時間をどのように使うかもある程度自由に選べるようになっている。このようにゆとりを持たせたカリキュラムが、伸び伸びとした学びの文化の一因なのかもしれませんね。